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中国の科学技術の事業状況―科学技術部記者会見より(その2)

2017年 6月 28日  科学技術部国際合作司

その1よりつづき)

科学技術経費の状況

 科学研究プロジェクト経費の管理改革においては、▽2011年に財政部(省)と科学技術部が共同で発表した第434号文書▽2014年に国務院が発表した第11号文書▽2016年に中共中央弁公庁と国務院弁公庁が共同で発表した第50号文書が重要な文書となっている。この3つの文書は、現在、中央財政が援助する科学研究プロジェクトの経費管理基本制度の枠組みを構成し、科学研究機関や科学研究者に対し、▽プロジェクト経費を自分でやりくりし、科学研究経費科目の調整もプロジェクト科学研究機関に完全に任され、プロジェクトを担う機関が自分で認可を行う▽労務費の割合を自分で決めることができる▽人員への業績報酬を自分で計画し、間接費用のうち何パーセントをその報酬にあてるのかを科学研究機関が自分で決めることができる▽プロジェクトの剰余資金の用途を自分で決めることができる▽出張費や会議費用の基準を自分で決めることができる▽提供された経費を自分で使用できる▽科学研究プロジェクト援助を自分で転化できる―という、7大自主権を与えている。

 上記3つの文書が実施されたことで、科学技術界は、科学研究経費使用における主な問題をうまく解決することができているとしている。国の制度関連においても合理的な制度が制定され、今後はそれら政策をいかに着実に実施するかがポイントとなり、その点で大きなカギを握っているのが科学研究機関となっている。科学研究機関は、国の関連の規定と同機関の業務や特徴を結びつけ、具体的な実施細則を制定し、監査当局や経費監督・検査機関に根拠を提供し、同機関の管理行為や能力をチェックしなければならない。

 科学技術部は、民間資本が科学技術イノベーション活動や国の目標達成に向けて重大研究開発任務をサポートするよう導いていく点について、一連の業務を展開した。その主な内容は以下の3点。まず、追加控除などの包括的な税制優遇政策を通して、企業が研究開発に資金を投入し、自身のイノベーション能力を強化できるようサポートしている。次に、企業が積極的に国の重点研究開発任務を担い、2つの面の積極性を十分発揮するようサポートしている。中央財政は、国の目標達成のため、十二分のサポートを行い、関連の任務を担う企業が一定の経費を支出して、共に関連の業務をサポートすることを希望している。3つ目は、中央財政が起業投資のファンド・オブ・ファンズを立ち上げ、社会資本や金融機関、特に科学技術成果の転化をサポートする関連の活動など、イノベーションの分野に進出するよう導いている。現在、科学技術部が直接管理する「科学技術成果転化誘導基金」のほか、すでに現在9つのサブファンドが設立され、基金規模は合わせて約200億元になっている。

 科学技術部は現在、新たな業務を複数スタートさせている。そのうちの一つとして、財政部と科学技術部は間もなく、融資のリスク補償をスタートする。これも、成果転化基金の重要な機能の一つで、多くの銀行業・金融機関と提携し、中小型の科学技術企業に融資する際、中央財政が一定の割合でリスク補償を行う。また、自治体と協力して、中央財政と自治体が共同で出資するようにする。

 次に、中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)、科学技術部などが株式投資と銀行融資を連動させる試験ポイントの設置を推進している。中国ではこれまで、銀行業の経営多角化がずっと認められず、金融機関が融資と直接投資を同時に行うことはできなかったため、これは、銀行業・金融機関管理制度の面では大きな進展となる。今回、試験ポイントとして国家自主イノベーションモデル区が選ばれ、試験ポイントに選ばれた銀行は、試験エリアで経営多角化を行い、イノベーション企業に対する融資と成果転化活動に対する投資を組み合わせて、推進していく。

 3つ目に、成果の転化のほかに、国の重大研究開発任務の研究開発の面において、社会資本のサポートを得るよう導き、それぞれが出資して共同管理するウィンウィンのスタイルを形成し、社会資本が国の重大科学技術研究開発任務に積極的に参加して、国のイノベーションの成果をシェアできる方法を考えている。国の重大研究開発任務は往往にして、パイオニア的な研究であるため、未知の不確定要素が多い。研究開発はリスクが大きく、成功する可能性も、失敗する可能性もある。そのため、関連の制度を制定してリスク補償を行えるようにし、さらに多くの社会資本がこの分野の業務を行うよう働きかけなければならない。現在、民営企業や上場企業、中央企業(国有企業のうち、中央政府の管理・監督を受ける企業)、国務院国有資産監督管理委員会などの関連当局とこの課題について議論を行っている。今後、国の重大研究開発任務、戦略性計画の策定、実施を促進し、財政だけが科学の分野の援助を行うのではなく、さらの多くの社会資本がそれに参加し、リスクを共に担い、利益をシェアすることを願っている。

 最後に、官民パートナーシップ(PPP)の模索とPRを行っている。今後、自主イノベーションモデル区や国家高新技術産業開発区、持続可能な発展総合試験区なども、そのようなスタイルで、民間の資本が建設や発展に参加するよう導くことができる。

国際協力に関する状況

 近年、グローバル化の足並みが加速し、中国経済の実力が強化され続けているのを背景に、中国の科学技術は世界でも重要な役割を果たすようになっており、各国の中国のイノベーションに対する期待は膨らむばかりだ。中国も海外進出を望んでおり、国際的なイノベーションのネットワークに溶け込み、国内と世界の資源を十分に活用し、自国の経済構築や外交に寄与させながら、世界に影響を与え続け、大国としての相応の責任を果たさなければならない。

 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が2015年11月に発表した科学報告によると、中国は現在、世界でも重要な研究開発活動センターになっており、2007-13年、中国の研究開発支出の世界全体のそれに占める割合は14%から20%に上昇。国際科学技術論文が世界全体のそれに占める割合も9.9%から20.2%にまで上昇し、いずれも世界2位となっている。2016年8月15日、世界知的所有権機関(WIPO)は関連機関と共同で2016年度のグローバル・イノベーション・ インデックス(GII)を発表し、中国は初めて、世界でイノベーション能力を有するエコノミーのトップ25にランクインした。同ランキングに名を連ねた中所得国は、中国が初めてとなる。

 中国の国際科学技術イノベーション協力事業は、世界の政治、経済の構造、調整、科学技術イノベーションの勢力図の変化など重大な要素を確実に把握しており、以下の3つの面でカギとなる役割を果たしている。まず、国全体の外交をサポートし、新型大国関係を発展させ、発展途上国との実務的な協力を推進し、多国間協議などにおける舞台での発言権、影響力を強化している。次に、国際科学技術協力を展開し、世界のビッグサイエンス計画に参加することによって、科学技術の発展や産業技術の発展においてネックになっている問題を解決し、関連の分野の飛躍的発展を実現している。3つ目に、海外とのイノベーション対話などのメカニズムを通して、相互信頼を深め懸念を取り除き、経済のモデル転換、高度化を促進するための、世界における良い環境を作り出している。

 現在、中国は158の国や地域、国際組織と科学技術の面で協力関係にあり、111件の政府間科学技術協力協定を調印し、200ヶ所以上の政府間国際科学技術協力組織に加入し、世界の71ヶ所の大使館に科学技術外交官146人を派遣している。中国は世界の主な国や地域と8大イノベーション対話メカニズム(中国=米国、中国=欧州、中国=ドイツ、中国=フランス、中国=イスラエル、中国=ブラジル、中国=ロシア、中国=カナダ)を構築し、多くの発展途上国と6大科学技術パートナー計画(中国=アフリカ、中国=東南アジア諸国連合、中国=南アジア、上海協力機構、ラテンアメリカ諸国、アラブ諸国)を策定し、世界中の発展途上国をほぼカバーしている。

 2016年9月、杭州で開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議で初めて「イノベーション」が重要な議題に名を連ねた。科学技術部は、イノベーションを専門にする作業グループの先頭に立って、積極的に作業を推進し、「イノベーション行動計画」が、サミットのコミュニケやイノベーション成長の青写真において反映された。2016年11月、中国が筆頭となって第1回G20科学技術イノベーション部長会議が開催され、「G20科学技術イノベーション部長会議声明」も発表された。同会議を通して、率先して積極的にサミットの成果を実施する模範を示し、各界に「イノベーションが発展における一番の原動力で、科学技術はイノベーションの核心」という理念をさらに発信することができた。2016年9月、科学技術部が筆頭となって4つの国務院所属の部・委員会と共同で、「『一帯一路』建設を推進する科学技術イノベーション協力特定項目計画」を発表したほか、12月に「国家重点研究開発計画戦略性国際科学技術イノベーション協力重点特定項目」を発表した。

 今後は、相互に利益がありウィンウィン関係となる開放型イノベーション理念を実行し、世界の科学技術イノベーション協力に積極的に参加し、平和的にそれを主導し、世界の舞台において、新たな主張、新たな提案、新たなプランを積極的に発信しなければならない。そして、世界の生産能力や装置製造における協力を推進する面で「先導・活性化」の役割を積極的に果たし、「海外のものを取り入れながら、海外にも進出する」という新たな構造を形成しなければならない。

 2016年、科学技術部は、「科学技術イノベーション未来を共に築く―ドイツ戦略」を発表し、今年は、英国、イタリア、イスラエルなどとの協力戦略の制定を積極的に考慮している。また、協力プラットホームの建設、重点研究開発・PR活動の実施、イノベーション集合区の発展推進、青年イノベーション起業協力パートナー計画の展開などの重要な活動の策定を行っている。

 科学技術部と中国国家エネルギー局は今年6月に、共同で、第8回クリーンエネルギー部長級会議・第2回イノベーション使命部長級会議を開催する計画だ。それらの会議には、30ヶ国のエネルギー部長や6つの国際組織の部長級高官が訪中団を引き連れて参加する。同会議を通して、クリーンエネルギーの共同活動を効果的に牽引し、世界の気候の変化の対応において、重要な役割を果たす。また、今年7月下旬、科学技術部は、第5回BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)科学技術イノベーション部長会議を開催する計画で、BRICSの科学技術イノベーション協力を効果的に推進する。

 「一帯一路」をめぐる科学技術イノベーション協力において、中国は具体的な行動計画を策定し、今年の適切な時期に公表する。また、5月の「一帯一路」国際協力サミットフォーラムでは、科学技術イノベーション協力が重要な内容として盛り込まれた。

 中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議で明確に言及された、国際ビッグサイエンス計画やビッグサイエンスプロジェクトの策定を先頭になって行うという提案を実行するために、科学技術部は今年、各方面の力を集合させて、関連のプランを制定できるよう取り組んでいる。

 その他、中国大陸部と香港地区が2004年に立ち上げた科学技術協力聯合委員会は、一連の協力を展開し、そのイノベーション科学技術能力が一層向上した。昨年9月、科学技術部がサポートし、「団結香港基金」が香港地区で開催した「創科博覧2016(Inno Tech Expo 2016)」の来場者は延べ10万人を突破した。今後、科学技術部は、両地の科学技術イノベーションにおいて優位性を誇る資源を十分に活用し、香港地区で科学技術イノベーションプラットホームを立ち上げ、香港地区の科学技術イノベーションの発展促進に力を入れ、経済活力を活性化させ、香港地区の「スーパーコネクター」としての役割を十分に発揮させる。

(おわり)

(発信元:科学技術部 2017年2月16日)


本稿は「科技部挙行新聞記者会介紹中国科技工作情況」『中国科技通訊』2017.NO.06を科学技術部国際合作司の許可を得て転載したものである。


日中大学フェア&フォーラムウェブサイト

 

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