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産業ロボットに基づく自動化生産技術の応用

2017年10月10日

李 明航:上海上汽大衆汽車販売有限公司

ハルビン工業大学卒。機械自動化方向の研究に従事。

概要:

 工業の絶え間ない発展に伴い、人的資源の不足という問題は日増しに際立ってきている。日常生産の需要を維持するためには、企業は、賃金費用を高めて労働力を維持せざるを得ない。長期的に見れば、企業の急速な発展には不利となる。本稿はこのため、産業ロボット技術の応用を中心に検討した。その目的は、工業生産の自動化を実現し、企業の雇用コストを引き下げ、企業経済の持続可能発展戦略を実現することにある。

キーワード:産業ロボット;自動化技術;応用

 ロボット技術の応用は80年代後期に始まった。市場の需要の絶え間ない拡大に伴い、ロボット技術の開発はすでに、各業界へと徐々に広がり、機械の効率の最大限の発揮がはかられている。

一、ロボットの応用範囲

(一)溶接分野での応用

 ロボットは溶接作業の方面で広範に応用されている。ロボットがすでに高い技術を持つ溶接の種類には、アーク溶接とスポット溶接がある。アーク溶接は主に、自動車工業の分野で応用されており、その長所は、不規則な溶接継目と比較的広い溶接継目を溶接できることにある。技術者が特別に設計した一種の連続軌跡サーボ制御されたロボットによって操作される。まずロボットを溶接の必要な部位に配置し、溶接部品を固定し、複雑な立体軌跡をロボットのプログラムに組み込む。溶接位置を固定できる溶接作業ロボットは、外界センサーをそれ以外に設置する必要がない。だが溶接部品の形状が不規則であったり、溶接軌跡が複雑であったりする時には、ロボットの作業道具の前方に位置センサーを設置し、不規則軌跡情報を機器制御センターに伝達する必要がある。スポット溶接はアーク溶接と異なり、その作業内容は主に、溶接部品に対して一連のスポットでの溶接を行うことである。溶接部品の形状はそれぞれ異なり、連接部分に一定の法則がないため、溶接過程においては、ロボットアームの柔軟性に対する要求が高くなる。溶接ガンが溶接スポットに正確に命中することだけでなく、溶接時にほかの部分と衝突しないようにすることが求められる。このほかこうした溶接ロボットの溶接用具は体積が大きく重量もあり、大きな空間において作業を行い、ロボットアームを展開しやすくする必要が往々にしてある。

(二)吹き付け塗装分野での応用

 ロボットの吹き付け塗装分野での貢献は顕著である。吹き付け塗装材料には有毒ガスが含まれており、人体に一定の傷害をもたらす危険があり、操作を間違えば火災事故が発生することもある。そのためロボットの吹き付け塗装用途での役割は軽視できない。同時に、ロボットを応用した吹き付け塗装には、塗布層が均等で、再修理率が低いなどの長所がある。操作員は、疲労や視点、吹き付け角度などの影響を受け、間違いを起こしやすい。ロボットは、プログラムが正確でありさえすれば、高品質で高性能の製品を産出することができ、最終利率を低めることができると同時に、材料のコストも節約できる。吹き付け塗装ロボットは通常、既定の直線軌跡と連続軌跡の上で運動できるようにするため、優秀な吹き付け塗装エンジニアによってプログラミングされる。吹き付け塗装ロボットの動作は、複数または一台のロボットによって行われ、一般的にはセンサーを加える必要はない。だがロボットアームに提供されるパーツは正確ですばやい必要がある。

(三)部品と伝送の面での応用

 よく見られるロボットのもう一つの重要な用途は、物品の積み下ろしと部品の位置の移動である。これには主に、「荷降ろし」と「パレタイジング」の2種類の作業形式が含まれる。工業における熱間プレス加工の任務は、人手による操作が極めて危険となる。高温の炉や危険性の高い旋盤、パンチプレスの付近で作業しなければならず、少しでも気を抜けば、人間の身体を傷付ける可能性がある。ロボットは耐熱という特性を備えており、正確なプログラムを設置すれば、その他の加工道具と同時に作業でき、衝突も避けられる。また重要な部品のピッキング、例えば温度が高く、構造が比較的複雑な未完成品は、工作機械にまで送って最後の加工をする必要があるが、これは、人員の安全に脅威をもたらすことになる。これに対し、ロボットはこれを軽々と完了できる。

二、産業ロボットの応用技術

 文化の進展に伴い、ロボット自動化技術は中国内外で幅広く応用されるようになった。とりわけ工業分野のロボットは、製造業での応用が際立っている。産業ロボットの稼動は主に、事前に組まれたプログラムによる自動シミュレーションで行われる。良好に稼働する産業ロボットは、製品の生産効率と品質の安定性の向上に有利となる。

 統計データによると、中国の産業ロボットの応用比率は、組立での応用が22%、貨物の積み下ろし・移動が28%、溶接での応用が31%、吹き付け塗装や調査、パンチプレスなどでの応用が19%を占めている。現在の発展傾向から見ると、産業ロボットは、企業の発展の道においてカギとなる役割を果たしている。多くのポストはすでに、従来の人的作業から無人作業に転換され、企業生産の真の自動化を実現している。

 よく見られるロボット技術の応用としては次が挙げられる。

1、溶接ロボットの応用

 溶接ロボットとは、その名の通り、溶接に関連する作業を行う。溶接のタイプの違いに応じて、異なる溶接ロボットが使用される。一般的には、スポット溶接ロボットやアーク溶接ロボット、レーザー溶接ロボットなどが含まれる。溶接ロボットは自動車製造業に幅広く導入されており、使用頻度が最も多いロボットは、アーク溶接ロボットとスポット溶接ロボットである。データによると、完成車1台の溶接スポットは4000カ所近くある。人間による溶接では、仕事量が多すぎるだけでなく、周囲環境からの影響で効率が低くなりやすい。それが長引けば、作業員の身体の健康に危害を与え、溶接作業の品質と作業量の確保も難しくなる。溶接ロボットの応用は、環境や速度、溶接の質などの要素の影響という問題を解決し、溶接の質を大きく高めることとなった。このようにロボット溶接の応用の優位性は言うまでもない。

2、組立ロボットの応用

 産業組立ロボットは主に、生産ライン上の部品の組立のために開発されたものである。組立ロボットの価値は比較的高く、先端科学技術が一体となったハイテク製品であり、通信や光学、自動制御、機械、マイクロエレクトロニクスなどの技術を融合した有機体である。組立ロボットは現在、電気器具製造業に主に応用されている。組立ロボットは機能がそろっている上に精度が高く、機動性も良好で、活動範囲が小さくてもその他のシステムと一緒に使用できるからである。自動車組立を例に取れば、完成車1台の部品は多く複雑で、組立プロセスで少しでも慎重さを欠けば、運行プロセスでの安全事故をもたらす可能性がある。人間による組立ではすでに、企業の生産需要を満たせなくなっている。組立機器の応用によって、自動車組立の効率を有効に高めることができる。大きな部品ではエネルギー発動装置まで、小さな部品では計器パネルやバックミラー、フロント・リアガラス、その他の簡単な装置などまで、組立ロボットの工業生産における応用価値を十分に発揮することができる。

3、運搬ロボットの応用

 運搬ロボットは、エンドエフェクターを通じて既定の任務を完了する。運搬部品の形状と大きさの違いによって、設置されるエンドエフェクターも異なる。運搬ロボットの応用範囲は広く、各産業に応用することができる。例えば、生産ラインのロード・アンロード、コンテナ運搬、組立ライン自動化、パンチプレス自動化生産などが挙げられる。運搬ロボットは応用規模が大きく、専門技術が要らず、すぐに稼動することができ、企業に大量の人力と物資を節約させ、企業の利益最大化を実現している。

4、検査ロボットの応用

 検査ロボットは、多元的な付加機能を備えている。電子回路基板や薬品包装、半導体の検査などに主に応用され、センサーを利用して光や視覚、触感フィードバックなどの情報を検査し、判断を下す。

(おわり)

主要参考文献:

王晨. 基于機械臂的工業生産自動化[J]. 自動化博覧.2013(01)

孫志傑,王善軍,張雪鑫. 工業機器人発展現状與趨勢[J]. 吉林工程技術師範学院学報. 2011(07)

※本稿は李明航「基于工業機器人的自動化生産技術応用」(『智能城市』2016年第4期、p.289)を(『智能城市』編集部の許可を得て日本語訳・転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司


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