第134号
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「メイド・イン・チャイナ」―邁進し続けた2017年

2017年11月30日

楊保志

楊保志(風生水起);広東省科技庁科技交流合作処副調研員

河南省潢川県出身。入学試験に合格し軍事学校に入学。26年間、軍務に就き大江南北を転戦し、その足跡は祖国の大好河山に広くおよび、新彊、甘粛、広東、広西、海南などの地域で銃を操作し弾を投擲した。メ ディア、組織、宣伝、人事などに関する業務に長年従事し、2013年末、広東省の業務に転じた。発表した作品は『人民日報』『光明日報』『中国青年報』『検査日報』『紀検監察報』『法制日報』『解放軍報』『 中国民航報』などの中央メディアの文芸・学術欄に、また各地方紙、各軍関連紙軍兵種報紙にも掲載され、『新華文摘』『西部文学』『朔方』などの雑誌や、ラジオ、文学雑誌にも採用され、“中国新聞賞”文芸・学 術欄銀賞、銅賞をそれぞれ受賞し、作品数は500篇に迫る。かつては発表を目的に筆を執っていたが、現在は純粋に「自分の楽しみ」のためとしている。

 ここ数年、中国製品は「材料加工」や「サンプルによる製造」を主として、「単純作業の繰り返しで、思考が欠如している」と常に非難され続けてきた。しかし現在では、も う過去のような見方はできなくなってきている。

 現在、イノベーションは中国においてすでに指導理念から自主的な行動へと転化している。中国科学技術発展戦略研究院が今年8月に発表した「中国企業のイノベーション能力に関する評価報告2016」に よると、中国企業においてイノベーションに関する活動を展開する意欲が徐々に高まり、調査対象となった企業の40%以上がイノベーション活動を行っていると回答した。

 中国新聞社の報道によると、中国がここ数年、「特許協力条約」などのルートを通して提出した国際特許出願願書の数が持続的かつ急速に増加しており、2013年には世界第3位に躍り出た。ま た中国の1年あたりの発明特許出願の数は世界1位をキープしており、2015年にはその申請受理数が百万件を突破した。そして2016年、中国国内で有効な特許発明は百万件を超えた。

 中国工程院のある院士は、「発明と創造が中国の人々の生活の質をますます高め、同時に中国は世界に大きく寄与し、世界に幸福をもたらす国にもなっている」としている。

 2016年から現在まで、中国は科学技術の革新面において、著しい成果を収めてきた。世界の人々が注目する重大テクノロジー成果には少なくとも以下の16項目を列挙することができるだろう。

1.神舟11号: 2016年7月17日朝7時30分に、神舟11号有人宇宙飛行船が打ち上げられた。これは中国の第6回目となる有人宇宙飛行で、宇 宙飛行士の滞在期間が最長となった有人宇宙飛行でもあり、その総飛行時間は33日間に達した。

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2.量子科学実験衛星・墨子号: 2016年8月16日、世界初の量子科学実験衛星である墨子号が無事打ち上げられた。2017年8月10日、墨 子号は世界で初めて衛星から地上への量子鍵配送と地上から衛星への量子テレポーテーションに成功し、量子科学技術分野の最高点に立った。

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3.FAST(口径500メートルの球面電波望遠鏡): 2016年9月25日、世界最大口径の電波望遠鏡FASTが貴州省平塘県で竣工し、稼働開始した。「中国の天眼」と 呼ばれるFASTは137億光年以上の電磁波受信も可能。一年間の運用・調整を経て、FASTはシステムの認証で確認された6つのパルサーを発見した。

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4.長征5号大型ロケット: 2016年11月3日、長征5号がその初飛行に成功した。これにより中国には高い推力の無毒無汚染液体ロケットエンジンがないという空白を埋め、中 国のロケット運送技術力が国際トップレベル入りを果たした。

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5.中国の高速鉄道 2016年末現在で、中国の高速鉄道の営業距離が2.2万キロメートルを突破し、世界の他の国の高速鉄道の営業距離の合計を超えた。2017年6月25日、中 国の高速鉄道に新しいメンバーとして「復興号」が加わり、中国高速鉄道の創業の歴史の新たな1ページが開いた。

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6.無人補給船「天舟1号」: 2017年4月20日、無人補給船「天舟1号」は海南省の文昌航天発射場から打ち上げられた。これは中国が独自で開発した初の無人補給船であり、有 人宇宙実験室プロジェクトの重要な構成部分の一つ。

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7.国産航空母艦: 2017年4月26日、中国で初の国産となる航空母艦が進水した。これは、中国の航空母艦建設の重大な区切りの一つとなり、中国による空母の自主設計・建 造が重大な段階的成果を得たことを示している。先ごろ、国産空母は計画通りにシステム・設備のテスト、調整、取り付けを行っており、同時に全面的な係留試験を展開する計画だ。

8.C919大型旅客機: 2017年5月5日14時、中国が自主開発し、独自の完全な知的財産権を保有する大型ジェット旅客機のC919が、上海の浦東国際空港で初飛行した。中 華民族が百年もの間抱き続けた「大型旅客機の夢」が歴史的な技術的ブレークスルーを実現し、現代幹線旅客機の開発において、中国がすでに核心的能力を備えたことを意味している。

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9.メタンハイドレートの試行採掘: 2017年5月18日、中国は初の海洋地域におけるメタンハイドレートの試行採掘に成功した。世界の資源占有量の90%を超え、開 発難度の最も高い型の土砂状態のメタンハイドレートに対して安全かつコントロール可能な採掘は、中国にとって初めてであるだけでなく、世界においても初となった。7月29日、メ タンハイドレートの試行採掘プロジェクトは、海上作業を全面的に終えた。これより中国初のメタンハイドレート試行採掘が無事完了した。

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10.X線望遠鏡衛星「慧眼」: 2017年6月16日、中国初の硬X線変調望遠鏡衛星「慧眼」が酒泉で無事打ち上げられ、中国の宇宙観測は地上から宇宙と地上を合わせて観測可能になり、大 きな飛躍を実現した。「慧眼」はX線を受信して分析し、天体の輪郭を描き、ブラックホールの一部を観測することができる。

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11.1万トン級駆逐艦: 2017年6月28日、中国海軍の初となる新型1万トン級駆逐艦が進水した。中国初の完全に自主開発した新型1万トン級駆逐艦として、新型の防空やミサイル防衛、対艦、対 潜水艦の武器を備え、比較的強力な情報感知力と弾道ミサイル対処能力、海上攻撃力を備えている。

12. 北京と新疆を結ぶ京新高速道路: 北京と新疆を結ぶ京新高速道路はウランプハ砂漠とトングリ砂漠、バダインジャラン砂漠という3つの砂漠を通過する世界でも最長の砂漠を通過する高速道路で、そ の全長は2540キロメートル。2017年7月15日、京新高速道路の臨河―白疙瘩区間(内モンゴル区間)が正式的に開通した。これにより京新高速道路が全線開通した。

13.「蛟竜号」有人潜水艇: 蛟竜号潜水艇は現時点でその潜水深度が世界最深の作業型有人潜水艇。南中国海の水深50メートルを手始めに、マリアナ海溝で海底7020メートルの潜水を実現し、世 界中の注目を集めた。今年9月16日、蛟竜号向け支援母船として、中国初の有人潜水艇支援母船「深海一号」が武漢で着工している。

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14.港珠澳大橋: 東端は香港に、西端は澳門と珠海に接する港珠澳大橋は、その全長が50キロメートル以上で、中国の橋梁建設史上、技術が最も複雑で、環境保護の要求が最も高く、建設標準が最も高い「 スーパープロジェクト」。2017年10月13日、港珠澳大橋の海底トンネルのアスファルト道路の敷設が正式にスタートし、今年年末には開通条件を満たす見通しだ。

15.北斗衛星測位システム: 中国が自主開発し、独自運用する衛生測位システムである北斗衛星測位システムは、米国の全地球測位システム(GPS)、ロシアの衛星測位システムグロナスに続き、世 界で3番目に成熟した衛星測位システムとなった。今年10月14日、北斗衛星測位システムは国産民用機に応用され、初の試験飛行に成功している。

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16.スマート自動化埠頭: 海岸線2350メートル、埠頭クレーンが10台並び、7万トン級の船舶が停泊可能な停泊地2ヶ所、5 万トン級の停泊地5ヶ所を備えたこの上海洋山港四期工事は現時点において世界最大の単体スマート自動化埠頭であり、初期の年間コンテナ取り扱い量は400万TEUに達すると見込まれており、今 年12月からの運用開始を予定している。

 過去の歴史を再演することはできないが、未来の奇跡を創造することはできる。今日、中国はかつてない革新の勇気と能力を手にし、新たな輝かしい1ページを記しつつある。


※写真はいずれもScience Portal China中国科学技術ニュースより。