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イノベーションで中国が世界の先頭に

2018年1月12日

楊保志(風生水起);広東省科技庁科技交流合作処副調研員

河南省潢川県出身。入学試験に合格し軍事学校に入学。26年間、軍務に就き大江南北を転戦し、その足跡は祖国の大好河山に広くおよび、新彊、甘粛、広東、広西、海南などの地域で銃を操作し弾を投擲した。メ ディア、組織、宣伝、人事などに関する業務に長年従事し、2013年末、広東省の業務に転じた。発表した作品は『人民日報』『光明日報』『中国青年報』『検査日報』『紀検監察報』『法制日報』『解放軍報』『 中国民航報』などの中央メディアの文芸・学術欄に、また各地方紙、各軍関連紙軍兵種報紙にも掲載され、『新華文摘』『西部文学』『朔方』などの雑誌や、ラジオ、文学雑誌にも採用され、“中国新聞賞”文芸・学 術欄銀賞、銅賞をそれぞれ受賞し、作品数は500篇に迫る。かつては発表を目的に筆を執っていたが、現在は純粋に「自分の楽しみ」のためとしている。

 ここ数年、世界の新技術の発展において、そのコンセプトのほとんどは中国が生み出したものではないものの、中国が革新的な応用を行い、ビジネスモデルとうまく結びつけ、あっという間に巨大な成功を収め、世 界に報いるという現象が目立ってきている。これは、中国ではすでにイノベーションが指導理念から自主的な行動となっていることを示していると言えるだろう。

 2017年8月に中国科学技術発展戦略研究院が発表した「中国企業革新能力評価報告2016」によると、中国企業はイノベーション活動の展開においてその活発さが次第に高まりつつあり、調 査対象となった企業の40%以上がイノベーション活動を行っているとしている。

 世界知的所有権機関(WIPO)などが発表した「2017年全世界イノベーション指数」によると、中国はイノベーションの質においてさらに成長を遂げ、5 年連続で中等所得国家におけるランキングでトップの座を占めている。国内市場の規模やナレッジワーカー(知識労働者)、オリジナルの特許、ハイテクの輸出、オリジナルの工業デザインといった指標において、中 国はいずれも世界一となっている。

 さらに人々を驚かせているのは、中国の特許出願件数が激増している点だ。世界知的所有権組織事務局長でオーストラリア出身のフランシス・ガリ氏は、「中国からの国際特許出願件数は、1年間で44%増 加しており、この数値は並外れている」としている。

 ガリ事務局長がより注目しているのは、中国におけるここ数年の目立ったイノベーションの活力に対してだ。ガリ事務局長は、中国は国際特許出願の件数と質を高めている一方、イ ノベーションを経済戦略の核心としていると指摘している。

 具体的な例を挙げるならば、世界で初めて紙幣を発明し、使用した中国は、今全世界をリードして決済システムの新しい時代に入ろうとしている。中国の統計当局のデータによると、中 国の第三者モバイル決済の市場規模は2017年の第二四半期に23兆元を超え、全世界で最大のモバイル決済市場となっている。中国に暮らす外国人の多くはモバイル決済技術を中国の「新四大発明」の一つとしている。 

 国家金融・発展実験室の李揚理事長は、「一帯一路」(the Belt and Road)参加国の一部ではこの経験を展開させていくことによって、小 切手やクレジットカードなどの伝統的な支払い段階を飛び越え、直接インターネットに基づくモバイル決済時代に入る可能性もあると指摘している。アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは「野心に燃える」と 中国のイノベーション活動を形容し、「この種のイノベーションは世界経済をさらにスピーディな成長の道へと促すことになるかもしれない」としている。

 実は業界内の人々にとって、中国が科学技術革新の分野で遂げた急速な成長は既に周知の事実となっている。アメリカの雑誌フォーブスの公式サイトには、2017年9月に「 人工知能はすでに正式に中国の国家戦略になった。中国の四川省成都市の人工知能チームが開発したロボットは最難関と言われている中国の大学入試試験に挑戦し、150点満点の数学のテストで105点を獲得した。し かもこれはインターネットに接続することなく、わずか22分間で回答し終えており、多くの外国メディアを驚かせた」という記事が掲載された。

写真1

インターネット接続をしない条件で試験問題を入力するスタッフ(撮影・劉婷)

 オーストラリアのシドニーERC電子ロボット学校の唐鵬威氏(Alex Tang)が書いた文章によると、中国の「新三大発明」は世界各国の遥か先を行き、地域ならではの特徴を備えているだけでなく、イ ンターネット技術に対する全面的な依存から抜け出すという技術面での特徴も備えているという。

 また唐氏は、2017年まで、中国は中国政府と人々の生存安否を脅かす二つの巨大な潜在的供給需要リスクを抱えていたとし、その一つはエネルギー問題、もう一つは食糧の問題だとしている。しかし、今 や喜ばしいことに、この二つの問題は、中国人がその知恵を絞り、技術の面でも戦略意義のある三大ブレークスルーを実現している。つまり、地熱高温岩体の採掘の成功、低コストの砂漠化土壌の改善、そして海水、ア ルカリ性土壌での稲栽培だ。この三大ブレークスルーのなかでも、「高温岩体の採掘技術」が特に大きなニュースだとしている。

 報道によると、北京時間の2017年9月6日、中国の科学者たちが青海共和盆地の深さ3705メートルから236℃の高温岩体を採掘したと、中国国土資源部地質調査局が正式に発表した。

写真2

中国の地熱直接利用(SPC科学技術ニュースより)

 これは全く新しい地熱資源で、石炭や石油に比べるとその効率が何十倍も高くなる。この技術は、石炭や石油の燃焼によるエネルギー取得が必要に無くなる可能性が高く、しかもその地熱資源は非常に豊富で、枯 渇しないと言われている。これにより、中国のエネルギー問題が解決されるだけではなく、人類が高温核融合、つまりトカマク型エネルギー生産における努力を放棄することになるかもしれないほどだと言われている。 

 戦略の勝敗を決するのは十分な技術サポートであり、中国は今回再びイノベーションで世界をリードすることとなった。

 中国の頻繁なイノベーション活動を目にし、11月1日、グーグルのCEOであるエリック・シュミット氏は米国メディアに対し、アメリカ人が考え方を変えなければ、人 工知能などの分野で中国より立ち遅れることになると警告している。シュミット氏は、「中国人はとてもすごいという私の言葉を信じてほしい。2020年には我々に追いつき、2 025年には我々を追い抜くことになるだろう。そして2030年には中国が業界をリードすることになるだろう」と述べている。

 1人の中国人として、その日が必ず来ると信じ、また早く来るよう願っている。


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