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植林・植草から生態修復、さらに自然再生へ緑地建設の視点から見た風景造園環境生態修復の発展プロセス(その1)

2018年4月12日

李 樹華: 清華大学建築学院景観学系教授

博士。博士課程指導教員。研究テーマは、植物景観・生態修復設計、園芸療法・療養景観設計、庭園植物景観建設の歴史と文化。『中国園林』編集委員。

王 勇: 安徽省風景園林計画設計研究院有限公司総経理

安徽省風景園林学会副秘書長。安徽農業大学風景園林専攻修士課程指導教員。中国社会工作聯合会心理健康専門委員会園芸治療学部副主任委員。研究テーマは、人体の健康に対する庭園緑地の療法的機能。

康 寧: 北方工業大学講師

博士。研究テーマは、生態修復と園芸療法。

概要:

 人類と自然との関係は、対决から共生、共存の方向へと徐々に転化、移行している。中国の景観緑化と緑地植生建設も生態修復の発展段階に入った。本稿はまず、中華人民共和国建国後の植林・植草の歴史を振り返り、こうした緑化方式と一部の造園緑化は代償植生に属すると論じた。次に、中国の現在の生態修復過程においては、外来植物の比率が高すぎ、生物多様性の豊富さが低く、植物群集の遷移法則が考慮されていないなどの問題があると指摘した。さらに中国は自然再生の道を歩むべきだと論じた。その道の原則となるのは、持続可能開発やミティゲーション、ビオトープ建設である。シードバンク理論と潜在植生理論の応用研究と実例なども紹介した。最後に中国の緑地植生建設過程に存在するいくつかの重点となる問題と解决案をまとめた。

キーワード:造園;生態修復;自然再生;生物多様性;持続可能発展;植物景観建設

 集落から村落、都市にいたる発展の過程は、人類が自然から離脱し、自然との対决が激化する過程だった。この対决の過程で、人類は、生活の快適性の向上を絶えず追求し、都市の自然度は低下し、生物の多様度指数も下落した。人類と自然との距離はますます広がり、都市環境は悪化の一途をたどっている。こうした状況はすでに、都市住民の生活の質と身心の健康を脅かしている。

 都市環境の改善と都市の自然度の向上のため、人々は、都市と郊外の環境の生態修復をはかっている。都市・郊外環境の生態修復の過程では、緑地植生の建設が最も主要で最も重要な手段・方法となっている。

 中国の都市・郊外緑化は、40年近くの急速な発展を経て、単調な植物種から豊かな生物多様性へ、単純な景観の緑化からビオトープの建設へ、景観機能の要求の満足から環境の持続可能発展へと歩みを進めてきた。

 本稿は、緑地建設の大局という視点から、風景環境の生態修復の発展プロセスを論じた。造園環境の生態修復プロセスを研究するためには、植生の類型をまず研究する必要がある。生態修復の異なる段階で、出現する植生の類型は異なるためである。

1 植生類型――由来と自然度の高さによる区分方法

 植物の自然状態は、移動能力を持たない植物の個体群を基本的な構成単位とし、一定の空間を占める。植物の自然状態は同時に、気候や水分、土壤などの無機的環境と、遺伝子を含む植物自身が持つ内在環境を通じて、また植物間の直接または間接の競争や共存関係の相互作用を受けながら、存在状態に影響または制約を与え、環境条件の総合的な作用と呼応し、独自の時間的・空間的な連続性を示す。

 植物の自然状態は、生長・発育している植物集団、すなわち植生を通じて具体的に把握できる。時間・空間尺度のあり方に応じて、植生は次の類型に分けられる[1]

1.1 自然植生

 有史以来、人類活動は植物の自然状態に対して大きな影響を与えてきた。我々の日常生活地域とその周辺に生長する植生は、何らかの形式で人為的な干渉を受け、その種類の組成や群集の構造を変化させてきた。亜高山帯や高山帯、砂漠地帯などでは、人為的な影響が極めて限られることから、自然状態の植生が残っている。こうした基本的に人為的な干渉を受けていない植生を自然植生(natural vegetation)と呼ぶ。気候や水分、土壤、歴史などの各種の環境因子の総合的な結果として、自然植生は、現地で最も発達した植生となった。自然環境に大きな変動がなければ、自然植生は、同一または同質の植生として引き続き存在することができる。

 対象の違いに基づき、自然植生は、原始植生と過去自然植生、現存自然植生、現存潜在自然植生に分けられる。

 現在、地球表面に生長する植生のうち、過去から現在まで人為的な活動の影響をまったく受けなかったものは極めてわずかに過ぎない。だが人為活動の影響の程度が軽いか、または影響を受けた年代が離れていれば、時間的な推移と空間的な遷移につれ、自然植生とほぼ同じ植生が形成される。こうした植生も自然植生とみなされる。

1.2 代償植生

 人類の居住環境の周辺の植生は、人々の視野にしばしば入り、いつでも直接的な接触が可能である。人為的な干渉を受けるこのような植生を代償植生(substitutional vegetation)と呼ぶ。代償植生は、現地の自然植生が置き換えられたものである。単一的な自然植生に位置する土地であっても、人為的な干渉の質と量の違いに応じて、多種多様な代償植生が形成される。

 農地または植生が壊された山の斜面は、長期にわたって放置すると、まず草本の群集が芽生え、後に低木林や高木林が育ち、最終的に現地の自然植生を形成し、持続的に安定した群集となる。このため現地の自然植生が形成されれば、代償植生は制限される。また逆に、代償植生を通じて、同地の自然植生をある程度判定することができる。

1.3 原始植生

 人為的な影響を受ける以前の土地の植生を原始植生(original vegetation)と呼ぶ。

 地球のスケールで見ても、地域のスケールで見ても、有史以来約1万年にわたって、植生の生長と発育、分布に変化を与える気候は大きくは変化しておらず、現在の地球に残存する大部分の自然植生は、原始植生と同じか同質である。火山活動や水分収支の変化(湿地ほか)など植生にかかわる環境条件や立地条件が大幅に変化する土地では、原始植生と自然植生は、対象植生の年代や時期の変化に伴って変化する。

1.4 現存植生

 さまざまな自然環境因子や歴史的要素、人為的要素の総和に適応した結果として、さまざまな土地で生長している植生を現存植生(actual vegetation)と呼ぶ。また各種の現存植生を林相(stand)と呼ぶ。

 自然の豊富な自然緑地地域、例えば生活する人の数が非常に少ない熱帯原生林や高山、極地付近では、現存植生の大部分は自然植生である。緑地と人々の生活が密接に関係する都市近郊などの地区では、環境条件や立地条件、人為的影響の質と量が時間的な配列の中で細かく複雑におりなされることから、現存植生の配分と面積の多くは、極めて細かいパッチ状を示す。

1.5 潜在植生

 長期にわたって人為的な活動の影響を受けると、原始植生と自然植生が破壊され、代償植生が氾濫するだけでなく、地形の改変や干拓、表層土壤の流失などによって植生の生長環境や立地条件が大きく変わる。大規模な土地の変化や環境条件の改変は、かつてその土地を覆っていた原始植生や自然植生の生長・発育を困難とし、土地条件に合った、異なる自然植生形成の潜在能力を備えた立地条件を作り出す。

 以上の考えに基づき、ドイツのTüxen R.(1956)は、潜在自然植生理論(Today's Potential Natural Vegetation)を提出した。潜在植生理論によると、ある土地が現在、代償植生に覆われていても、あらゆる人為的な干渉を停止すれば、この立地条件は、ある種の自然植生を形成する潜在能力を備えていることになる。こうした植生は、この立地条件下で生長できる多層構造の最も発達した植生であり、時間的な配列から見れば、持続可能な自然の終極的な群集となる。

 原始植生や自然植生が残存している場所では、一般的に、潜在自然植生と現存植生は一致する。潜在自然植生に対しては、残存する自然植生や断片的な林相、残存する自然の大樹を調査した上で、植生にかかわるさまざまな要素を総合的に考慮し、把握する必要がある。

2 植林・植草――代償植生の建設

 中華人民共和国の建国から1980年代、90年代まで、中国と北京市の国土緑化(林業緑化と造園緑化を含む)は、「広範な緑化と重点的な向上」(50年代)、「すべての荒山・荒地の緑化」(1956年)、「大地の造園化の実現」「緑化と生産の結合」(1958年)、「黄土を地表に出さない」(1965年)、「祖国の緑化」「人民のために戦争に備え、食糧不足に備える」(1972年)、「黄土を地表に出さない」(1979年)、「生態の整った文明都市」(80年代)、「生態造園建設」(90年代)などの諸段階を経てきた。取り組みは大きな成果を上げ、植樹造林や山の緑化が積極的に展開され、平原地区では農地の防護林の建設や、郊外の住宅・農村・道路・水のまわりの緑化が進められ、防護林帯が構築され、黄砂の抑制がはかられた。市街地では、都市の造園化建設が強化され、都市環境の改善と美化がはかられた[2-4]

 だが「大躍進」の時期には、植生と環境が大きく破壊された。また1978年の「三中全会」後、経済が急速に発展し、都市開発や住宅建設、道路開発、干拓によって、植生は減少し、土石流や山崩れがしばしば発生するようになった。土壌の保全と荒山の緑化が緑化の主要な目的となり、「生態修復」の理念を含まないスピーディーな緑化が当時の目標となった。こうした植林・植草の手法を通じて建設された緑地植生は多くが代償植生に属し、生態改善や景観美化などの面で効果を上げると同時に、緑化される場所の多様性を考慮した緑化を行うことはできず、複雑な生態系は構築できず、群集の遷移を完了することはなかなかできなかった。こうした植生は多くが遷移の過程にあり、不安定な植生形態に属していた(図1)[1]

図1

図1 大部分の都市の造園緑地は代償植生に属する(参考文献[1]に基づいて著者が作成)

Fig. 1 Most of urban green space are substitutional vegetation [Re-edit based on Akira Miyawaki (1978)]

その2へつづく)

参考文献:

[1]. 宮崎昭,新井洋一,飯村優子,等.『植生と開発保全』土木工学大系3自然環境論(II)[M].東京:彰国社,1976:46-50.

[2]. 北京建設史書編輯委員会.建国以来的北京城市建設[M].北京:内部出版,1986:339-388.

[3]. 北京市地方志編纂委員会.北京志市政巻園林緑化志[M].北京:北京出版社,2000:227-336.

[4]. 北京市園林局.当代北京園林発展史1949—1985[M].北京:内部出版,1987:33-70.

※本稿は李樹華、王勇、康寧「従植樹種草,到生態修復,再到自然再生——基于緑地営造視点的風景園林環境生態 修復発展暦程探討」(『中国園林』2017年第11期、pp.5-12)を『中国園林』編集部の許可を得て日本語訳/転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司


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