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上海汽車集団(SAIC)―中国自動車業界のトップメーカー

2018年4月24日

陳選

陳 選(チン セン):フリーライター

略歴

 1982年、 吉林大学日本語科卒、1986年、中国社会科学院大学院日本研究所修士課程卒、中国国際信託投資公司( CITIC)勤務。1989年来日、北海道大学法学部大学院修士課程卒、大 手商社長年勤務。中国自動車メーカーのビジネスアドバイザーでもあった。

 上海汽車集団は地方政府が所有する国有企業で略称上海汽車(SAIC)、中国国内で上場企業として最大の完成車メーカーであり、乗用車や商用車のほか、自動車部品も製造している。系 列中核企業はドイツVWとの合弁企業である上海フォルクスワーゲン(SVW)、米国GMと合弁する上海通用(SGM)、スウェーデンVOLVOと合弁する上海申沃客車(SUNWIN)、上海通用(SGM)と 柳州五菱の2社合弁の上海通用五菱、並びに部品メーカーを統括する華域部品等である。

1.上海汽車の沿革

 1955年12月に上海市内燃機配件製造公司が発足した。これが上海汽車の前身であった。約三年後の1958年9月に「鳳凰」というブランドの乗用車がラインオフした。1964年2月に「上海」と いうブランドに改名し、11年後の1975年5000台/年の生産能力になり、乗用車の量産では、当時最大規模であった。

 1982年6月に上海汽車がフォルクスワーゲンと乗用車サンタナの試作生産契約を締結し翌年の4月に国産1台目のサンタナが組立られた。これを契機に1985年3月に両社合弁の形で上海VWが設立された。< /p>

 更に1997年1月上海汽車と米国GMが合弁契約を締結し翌年12月に上海GMで製造した一台目のBUICKがラインオフした。

 1997年11月に上海汽車が上海証券交易所に上場を果たした。さらに2002年11月に上海汽車GM五菱が広西柳州で設立された。

 2005年7月22日,南京汽車はイギリスMG及びエンジン関連の開発、製造技術などを買収した上、上海汽車の傘下に入った。2006年10月にイギリスMGの開発、製 造技術をベースにハイエンドの自主ブランド乗用車「栄威(Roewe)750」を発売し、上海汽車の自主ブランドとしての新しい1ページを開いた。その後も、上 海汽車は中国自動車市場の発展と変化に合わせて進化してきた。

2.中国自動車業界における上海汽車の位置づけ

 2001年の中国WTO加盟を契機に中国自動車市場は百数十万台の規模から一気に拡大し、現在、世界最大の3,000万台に迫っている。2017年、中国自動車市場の発展がやや鈍化し、前 期比では3.3%しか伸びていなかった。ところが、上海汽車集団は販売不振に陥らず、集団全体の販売台数が693万台に達し、前期比で6.8%伸び、国内市場シェアが23.2%になった。同 時に完成車の輸出と海外販売は17万台となり、中国自動車メーカーとしてトップの座を保った。

 現在、上海汽車は合弁企業が製造したものと自主ブランドが集団の両輪になっている。昨年、自主ブランド車の販売台数が集団販売総台数の50%超であって、特に栄威など乗用車の販売台数が52.2万台で、前 期比で62.3%になり大幅に伸びた。一方、合弁企業の販売も好調が続いている。2017年現在、中国の自動車市場で年間販売台数200万台を成し遂げた自動車メーカーは四社しかなく、そ の中で上海汽車集団傘下の上海VW、上海GM、上海汽車GM五菱の三社が入っている。長年に亘り、国内自動車市場で上海VWが乗用車販売トップの座を保ち、上海汽車GM五菱も、絶 えず完成車販売台数のナンバーワンになっている。上海GMは2017年、初めて年間販売台数が200万台に達した。

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「栄威(Roewe)

3.上海汽車の発展を牽引する新たなエンジン

 近年来、上海汽車は自動車市場のトレンドに照準を合わせ、自動車の「コネクティッドカー化・電気化・スマート化・シェア化」を力強く推進している。

1)自主ブランド車のコネクティッドカー化

 2015年にアリババと協力し開発したソフトウエアを搭載したSUV栄威RX5が発売され、コネクティッドカーとして直ちにヒット商品となった。上海汽車コネクティッドカーファミリーは日増しに拡大し、2 017年に販売した自主ブランド52.2万台の中でもコネクティッドカーが40%強を占めるようになり、上海汽車集団全体の販売台数の大幅増に大きく寄与した。同時にコネクティッドカーは海外進出を実現し、2 017年11月、タイでi-Smartシステムを導入し、海外仕様のコネクティッドカーMGZSを発売し、3,000台を受注した。

2)省エネ自動車

 上海汽車の自主ブランド省エネ乘用車は、ハイエンド市場でその地歩を固めている。2017年、省エネ車の販売台数が6.4万台に達し、前期比156%増となり、今年は倍増の12万台になる見通しである。又 、マイクロバスの省エネ車も開発され、少量ではあるが商品化になっている。上海汽車の計画によれば2020年に、省エネ車の販売台数が60万台になる。

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「栄威(Roewe)ei6ハイブリット

3)自動運転

 上海汽車はここ数年、自動運転技術、インターネット技術などを駆使するコネクティッドカー実現の為に布石を打っており、数多くの国内関連企業と協力している。現在、上 海汽車集団は第2世代の自動運転技術プラットフォーム及び車載5G通信交信プラットフォームの開発を終え、また自動駐車、高速道路、都市部渋滞区域の低速運転など種々な状況に応じた自主運転技術の試用が終了し、走 行距離が5万キロを超えてL4級の自動運転レベルに達する数少ない国内自動車メーカーになる。2018年3月1日、上海汽車集団は国内では自動運転車として初めて路上試験可能なナンバープレートを取得した。上 海汽車集団の計画によると、2025 年では全天候環境における自動運転が可能になる見通しである。

4)カーシェアリング

 上海汽車は完成車の製造、販売のみならず、その延長線上で自動車サービス分野でも優れたサービスを提供する企業になるよう青写真を描いている。その為、自 動車アフターサービスとしてカーシェアリングの会社の「車享家」を設立し住宅団地近辺でカーシェアリングのサービスポイントを設け、スマートフォンで利用可能なサービスを展開する。2017年時点で、国 内六十強の都市でFCの形で1,500加盟店を募集し、会員が190万余りになっているという。

 今後、上海汽車は自動車産業発展と市場のトレンドを敏感に捉え不断に発展するインターネット技術を自動車開発、製造に活用し融合させることを通じて2020年に国内において技術と市場シェアで、名 実ともに中国自動車業界のトップメーカーとなり、2025年にはグロバールな競争力と影響力を有し、お出かけサービスや製品を提供する総合的なサプライヤーとなることを目指している。

(本文の数字や写真などはネット新聞と上海汽車ホームページを参考にした)

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