第139号
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木材プラスチック複合材料の応用の現状と発展の動向(その2)

2018年4月27日

劉 彬,李 彬,王 懐棟,陳 希: 北京工業大学循環経済研究院

龔 裕: 北京工業大学循環経済研究院

博士、研究員。資源環境と循環経済の研究に主に従事。

その1よりつづき)

2 木材プラスチック複合材料の最新研究成果

 近年の安定的な発展によって、木材プラスチック複合材料産業は、技術の面でも応用分野の面でも急速に発展している。性能の最適化やコストの調整の研究という視点から言えば、木 材プラスチック複合材料は現在、初代の製品から第2世代の製品、第3世代の製品へと進んでいる。新たな木材プラスチック複合材料の研究成果としては主に、複数材を同時に押し出した同時押出木材プラスチック製品、圧 力によって柄をつけるエンボス木材プラスチック製品、3Dプリント木材プラスチック製品がある。

2.1 同時押出木材プラスチック製品

 同時押出木材プラスチック製品は、現在の第2世代木材プラスチック複合製品の花形である。同時押出技術の応用は、木材プラスチック複合製品の性能を変えない前提で、コストを一段と引き下げ、第 2世代木材プラスチック製品のコスト節減の新たな道を切り開いた。欧米市場では近年、同時押出木材プラスチック製品がますます増え、木材プラスチックの同時押出技術は、ハイエンドのドアや手すり、フ ェンスなどに利用されるだけでなく、ローエンドのフローリングやフェンス、外壁ボードにも利用されるようになり、型枠にも木材プラスチックの同時押出がますます多く採用されるようになっている。2 015年末の時点で、木材プラスチック同時押出製品が木材プラスチック製品の総量に占める割合は50%を超えた,木材プラスチック同時押出はすでに、木材プラスチック製品の主流となっていると言える。現在、木 材プラスチック同時押出材料は主に、PVCとPE、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル(ASA)のいくつかがある。このうちPE系木材プラスチック同時押出製品は生産量が比較的大きい。現在、中 国国内では主に、再生材料を用いて木材プラスチック製品を生産している。そのため木材プラスチック同時押出技術の応用のニーズはより切迫したものとなり、そ れがなければ市場によって淘汰されるというほどのものとなっている。同時押出木材プラスチック製品の基層は、劣化防止剤や顔料などの材料を添加する必要がなく、同時押出の表層の厚さも約0.5mm前後と薄く、コ ストは65%以上引き下がる。同時押出木材プラスチック製品の模式図と実物図を図1に示した。

図1

(a)--模式図   (b)--実物図

図1 同時押出木材プラスチック製品の模式図と実物図

2.2 エンボス木材プラスチック製品

 人々の生活の質が日増しに高まるにつれ、単一の柄や色の木材プラスチックは、顧客の審美面でのニーズを満たせなくなっている。精神的なレベルへの需要はますます高まり、よ り自然に近いものが好まれるようになっている。木材プラスチックの美観や実用、本物らしさ、プラスチック的要素の排除など[30]の要求を満たすため、エンボス木材プラスチック製品は生まれた。エ ンボス木材プラスチック製品は、より複雑で復古調の柄が好まれるようになっている。現在幅広く応用されている技術としては、アンティークな木目を深く入れる技術と、生産ライン上で柄をつける「 インラインエンボス技術」の2種類がある。インラインエンボスは「熱エンボス」とも呼ばれ、モールドから出た木材プラスチック型材の温度がまだ低下しないうちにエンボス処理を行うもので、作 成した木目柄を最大限に反映することができ、エンボス木材プラスチック製品の可視感と立体感を高め、木材プラスチック業の装飾分野での開拓と発展を促した。エンボス木材プラスチック製品は図2に示す通りである。 

図2

図2 エンボス木材プラスチック製品の実物図

2.3 木材プラスチック製品における3Dプリント技術の応用

 1984年にCharles Hullが3Dプリンターを発明して以来、3Dプリントの工法と技術は急速に発展してきた。3Dプリントは、数理シミュレーションや材料科学・技 術[31]などのさまざまな先端科学の成果との結合を果たしている。3Dプリントは、金属材料や無機非金属材料、高分子材料などの分野で応用されているが、そのうち応用範囲が広いのはやはり高分子材料である。こ こ数年、3Dプリントは技術者によって木材プラスチック業にも導入され、木材プラスチック製品の形状の単一性や色彩の単調といった問題を解決し、木材プラスチック製品の輝度や外観の色彩の多様性を大きく高めた。 

3 木材プラスチック業が直面する問題と今後の展望

3.1 木材プラスチック製品に存在する問題

(1)界面相溶性の問題

 界面相溶性は、木材プラスチック複合材料の研究で最大の焦点となってきた。木粉は、セルロースやリグニン、ヘミセルロース、抽出成分[32]などの部分からなり、これらの成分には、大 量のヒドロキシ基が含まれることから、木粉の表面は極性と吸水性が高い。プラスチックを見ると、木材プラスチック製品市場で現在よく用いられている熱可塑性プラスチックはPEとPP、ポリスチレン(PS)、P VC[33]である。この4つのプラスチックのうちPVC以外は非極性で、PVCの極性も木粉より低い。そのため木粉とこれらの熱可塑性プラスチックの界面相溶性は極めて低い。

 木粉とプラスチックの界面相溶性を改善するには、まず原材料に前処理を施す必要がある。木粉とプラスチックを乾燥処理し、複合材料中の残留水分の比率を引き下げる。次に改質処理を行う。改 質の方法には一般的に、物理改質と化学改質の2種類がある。物理改質には、物理加工やアルカリ化処理[34]、放電処理[35]などが含まれる。物理改質の原理は、木粉表面のヒドロキシ基の比率を低下させ、木 粉表面の極性を引き下げるというものである。化学改質の方法には、カップリング剤処理や相溶化剤処理、グラフト改質などが含まれる。現在市場で幅広く応用されているカップリング剤は、無 水マレイン酸グラフト高分子共重合体[36]である。無水マレイン酸グラフト高分子共重合体は、プラスチックと活性反応するだけでなく、木粉表面のヒドロキシ基と化学反応し、共有結合を形成し、木 粉表面の極性を引き下げることができる。カップリング剤は、木材プラスチック複合材料の界面相溶性の改善で架け橋としての良好な作用を発揮し、木粉とプラスチックを有機的に結合し、木 材プラスチック複合製品の力学的性能を高めた。

 こうした進展にもかかわらず、木材プラスチック複合製品の力学的性能は、いくつかの面で、建築構造の材料となるにはまだ大きなギャップがある。研究開発機関は、さ らに立ち入った細かい研究を行う必要がある。

(2)経済効果の問題

 木材プラスチック複合製品に必要な成分としては、木粉とプラスチックのほか、加工改質剤や着色剤、可塑剤、相溶化剤、カップリング剤、発泡剤などの添加剤が挙げられる。こ れについてはコストと性能の両方を考慮する必要がある。熱可塑性プラスチックの比率を引き下げ、複合材料中の木粉の含有量を高めれば、コストを削減できるが、性能を低下させることになる。そ のため研究開発の過程では、その調合の多様な改善を進め、性能と効果の最大化を実現する必要がある。

(3)原料の分類と由来の問題

 市場で現在回収されているプラスチックはほぼすべてが混合物であり、これは廃プラスチックの再利用に困難をもたらしている。そのためプラスチック回収の面でも、プラスチック回収の種類を広げ、プ ラスチックの品種を細分化する必要がある。

 繊維原料について言えば、一部のメーカーは現在、季節性の高い残茎や棉茎、もみがら[37]などを用いており、原材料の保管問題を考慮する必要がある。これらの原料は木繊維よりもずっと安いが、保 管面で多くの問題がある。

(4)密度の問題

 木材プラスチック複合製品の密度は一般的に、木製品の密度の2倍で、これに伴って木材プラスチック製品の生産コストも高まる。木材プラスチック複合材料の密度を引き下げる方法としては現在、微 孔発泡技術が一般的に用いられている。微孔発泡木材プラスチック複合材料の主要な成形方法には、連続押出成形法と射出成形法がある[38]。発泡技術の応用は、木 材プラスチック複合製品の密度が大きいという問題を解決するだけでなく、セル構造によって亀裂の先端が鈍化され、亀裂の広がりが阻止され、材料の力学的性能を高める。

(5)生産設備と加工工法。

 現在市場で用いられている木材プラスチック製品の生産方法には、押出成形法と圧縮成形法、射出成形法がある[39]。だが設備は、プラスチックの汎用生産設備や木材の汎用生産設備がそのまま用いられ、木 材プラスチック材料の加工と性能には多くの制限が加わる。近年、多くの木材プラスチックメーカーが、設備の改良や、国外の木材プラスチック専門の生産設備のオーダーメイドを行っている。木 材プラスチック製品生産の主要工程を図3に示した。加工工法について言えば、木粉の添加は、原料の流動性を引き下げ、加工プロセスを阻害する。そのため一般的に、潤滑剤と加工改質剤を加えることで、混 合材料の摩擦力を引き下げ、流動性を高め、設備に対する損害を減少させる措置が取られる[40]

図3

図3 木材プラスチック製品の生産工程

3.2 将来の展望

 木材プラスチック複合材料は、新興の環境保護材料として、木製品が用いられるほとんどすべての分野に応用できる。これは木材プラスチック複合材料に広大な市場空間を与えている。さ らに木材プラスチック複合材料の原料の大部分は、回収した廃プラスチックや廃木粉が用いられ、これも中国のプラスチック汚染に経済的な解決方法をもたらしている。だ が木材プラスチック複合材料にはまだ探究と解決の必要な多くの問題がある。木材プラスチック複合材料は、良好な力学的性能と大きな社会的効果と経済的効果を備えており、高い応用の見通しを備えた材料と言える。 

(おわり)

参考文献:

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[40]. Li Huiyuan, et al. Bioresources, 2014, 9(2):3 591-3 601.

※本稿は劉彬,李彬,王懐棟,陳希,龔裕「木塑復合材料応用現状及発展趨勢」(『工程塑料応用』2017年第45巻第1期、pp.137-141)を『工程塑料応用』編集部の許可を得て日本語訳/転 載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司