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貴陽ハイテクパークが「デジタルガバナンス」時代の扉を開ける

2018年6月29日 何 星輝(科技日報記者)

 ビッグデータにスーパーブレイン搭載―

 現在のソーシャル・ガバナンスは、過程、調和、多元化、インタラクティブを一層重視するようになっており、ビッグデータの技術と活用を通してイノベーションを実現し、今後は、オンラインとオフライン、バーチャルと現実、政府のガバナンスと多方面の協同などの融合を促進するだろう。

 どのように投資を望んでいる企業をいち早く見つけ、ターゲットをしぼった投資誘致を実現すれが良いのだろう?また、どのように各部門に散在しているデータを一つにして活用すれば良いのだろう?最近、貴陽ハイテクパークブロックデータ指揮調整センターが立ち上げられて以降、そのような難題が解決に向かっている。

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ブロックデータ指揮調整・展示センター (撮影:蒲学光)

 膨大なデータソースが各部門にそれぞれ存在していたため、貴陽ハイテクパークは部門間にある壁を打ち破り、データソースを「チェーン状」から「ブロック状」にし、政府ガバナンスのための「スーパーブレイン」を構築している。ブロックデータ指揮調整センターを通して、同パークは今後、各部門が総合的な戦略や方策を決めることができるようにサポートし、集まったビッグデータを関連性を持たせて活用できる態勢を形成し、「デジタルガバナンス」の扉を開けたい考えだ。

データ間の壁を打破し情報の背後にある価値を発掘

 貴陽市のビッグデータ発展の主戦場である貴陽ハイテクパークは近年、ビッグデータや関連の業態に関連して、イノベーションの要素を集め、産業が深く発展するよう推進し、良好な産業エコシステムが構築されている。昨年の時点で、貴陽ハイテクパークには、ビッグデータ企業やビッグデータ関連企業4003社が集まり、総売上高が451億6000万元(約7542億円)に達した。グーグルやデル、IBM、百度、阿里巴巴(アリババ)など、世界的なビッグデータ企業が次々に同地に進出している。今年発表された中国の国家級ハイテクパークの最新ランキングで、貴陽ハイテクパークは2010年の62位から41位まで順位を上げ、中国全土で順位上昇幅が最大の国家級ハイテクパークの一つとなった。

 同パークが発表した「三年行動計画」によると、3年をめどに、整ったビッグデータ産業エコシステムを構築し、「中国ビッグデータバレー」の中心にしたい考えだ。そして、同パークにビッグデータ企業とビッグデータ関連企業を合わせて1万社集め、ビッグデータ産業の総売上高を1000億元(約1兆6700億円)にまで引き上げ、ビッグデータ「1+N」産業発展の構造を形成したい考えだ。

 ただ、ビッグデータ産業が急速に発展している一方で、政府の大量のデータは各部門に散在し、データ間に壁があり、情報が孤立している状態が多いというのも残念な事実だ。分散しているデータをどのように集めれば、政府が重大な問題をめぐる方策決定や検討判断ができるようサポートし、政府の管理改革を促進し、政府の国民に対するサービスを向上させる有効な活用にできるのだろうか?

 その点、必ず、「集」、「通」、「使用」を実現しなければならない。2015年に、貴陽市は真っ先に「ブロックデータ」の概念を提起した。各分野のチェーン条のデータと比べると、「ブロックデータ」は、物理空間や行政地域を通して形成された、人や事柄、物に関連する各種データの「ブロック」で、高度な関連性、立体性、開放性を兼ね備えている。また、データの関連性を通して、膨大なデータを発掘、分析することができ、データの背後にある深い価値を活用することができる。

融合を深化させ政務データの完全リンクを実現

 貴陽ハイテクパークブロックデータ指揮調整センターでは、さまざまな分野の情報がディスプレイ上でリアルタイムで更新され、豊富なデータとデータが「化学反応」を起こしている。

 企業誘致セキュリティ指数を見ると、企業誘致の手がかり、ターゲットをしぼったマッチング、商談追跡、プロジェクト・サービスなど各種データが一目で分かるようになっている。同指数の完全情報化、データ化により、積極的に企業誘致を行う理念が強化されるほか、パークが産業の位置付けにマッチし、投資を希望したり、投資の実力がある企業をすぐに見つけることができ、伝統的な企業誘致のスタイルを大きく変えた。

 「権力監督」を見ると、行政権力が全てネットワークに盛り込まれ、政務情報、政務手続きの過程が公開され、権利の履行の過程が完全電子化され、全ての「跡」が残されている。データの「跡」と関連性の分析を通して、公共資源や公共資金、公共権利、公職者を効果的に監督し、権力を規制することを目的とした監督メカニズムを構築し、戦略・方策決定、実行など重要な部分を効果的に監督し、資金、効能、紀律遵守にターゲットをしぼった監督、管理、責任追及を実現している。

 「モノのインターネット+クラウドコンピューティング」の技術の枠組み下で、「生態モニタリング」は各種環境モニタリングパラメーターや汚染源の法規違反行為の自動証拠収集、監督・管理者の行為などのオンライン記録データを効果的に収集して分析することで、地域の環境の質の自動モニタリング、警告・報告システムを構築、整備し、管轄地域の環境の質や環境管理、企業の環境行為などを全面的にモニタリングしている。

 貴陽ハイテクパークビッグデータ弁公室の王麒・室長は、「これは、『1+‘12+N’+1』という解決プラン。うち、一つ目の『1』は、基盤を構成する『データコープハイテク』一体化基礎システムプラットフォームを指す。『12+N』は現在推進するビッグデータにターゲットをしぼった企業誘致セキュリティ指数、モバイルOA、政務サービスなど、12の基礎応用サブシステムで、権利の監督、投資誘致、法に基づいた税金の活用、マンツーマンの貧困脱却サポート、政務サービスなど多くの分野のモニタリング、調整、管理の実現をサポートする。最後の『1』は、『スマートブレイン』と呼ばれるブロックデータ指揮調整センターを指す」と解説する。

 そして、「さまざまなデータを一体化プラットフォームに融合させることで、政府・政務のデータを高度に融合させることができる。また、『12+N』基礎応用システムを通して、さらに広い範囲のデータを掘り出して、意思決定者がすぐにデータを直観的に認識することができる。その他、技術の基準、安全保障、運営保護など、7つを統一することで、各職能部門のデータを完全にリンクし、同じものが複数ある、基準が統一されていない、応用が分散しているなどの問題を解決し、ビッグデータ利用の科学性、網羅性を向上させている」と説明する。

スーパーブレイン搭載でソーシャル・ガバナンスが円滑化

 王室長は、「ブロックデータ指揮調整センターが設立されたことは、ビッグデータという『スマートツリー』に『スーパーブレイン』を搭載したようなもので、ソーシャル・ガバナンスが一層容易になり、円滑化された」との見方を示す。

 貴州省貴陽市政協の副主席を務める、貴陽ハイテクパーク共産党工作委員会の楊明晋書記は、取材に対して、「現在のソーシャル・ガバナンスは、過程、調和、多元化、インタラクティブを一層重視するようになっており、ビッグデータの技術と活用を通してイノベーションを実現し、今後は、オンラインとオフライン、バーチャルと現実、政府のガバナンスと多方面の協同などの融合を促進し、ソーシャル・ガバナンスのデータ化、一点集中化、オリジナル化、自動プロセス化などを実現する。データを原動力とし、知恵を牽引力とし、それを一つにするという発展コンセプトの下、ブロックデータの『集』、『通』、『使用』を発展において重要な部分とし、インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、IoT(モノのインターネット)、人工知能などの新世代情報技術、ブロックチェーンの政務、民生、ビジネスなどの分野での融合、応用促進に取り組み、政府のソーシャル・ガバナンス能力を全力で向上させなければならない」との見方を示した。

 ブロックデータ指揮調整センターの運営が軌道に乗り、貴陽ハイテクパークは「デジタルガバナンス」の時代の扉を開いている。

 (担当者が)窓口で8時間働くだけでは、手続きをする人の需要を満たすことは全くできないため、貴陽ハイテクパークは、同省で初めてセルフサービスホールを開設し、現有の行政審査・サービスの時間、空間の制限を打破し、「8+16」の24時間政務サービスを提供している。同ホールでは、税関系の情報の検索やオンライン届出、オンライン決済などを、手早く行うことができる。今後は、パークにもこのようなセルフサービスが開設され、市民や企業が一層近い場所で各種手続きが行えるようになる見込みだ。

 「政策が最良で」、「コストが最も安く」、「環境が最も良く」、「手続きが最も速く」、「人らしさが最も濃い」という、貴陽ハイテクパークの5つの「最」がオアシスのように、マグネット効果を発揮している。

 最近、貴陽市政府が筆頭となり、インテル(中国)有限公司、中国人工知能産業イノベーション聯盟が2億8400万元(47億4280万円)を投じて、中国人工知能開放イノベーションプラットフォームを立ち上げた。「官」、「産」が密接に協力して立ち上げたこの人工知能イノベーション総合サービスでは、貴陽のビッグデータソースとインテルのコア技術が一つになり、現在、ビッグデータ企業や人工知能企業が続々と進出している。

 ブロックデータが発展するにつれ、「中国のビッグデータバレーの中心」が着々と構築されている。


※本稿は、科技日報「貴陽高新区開啓“数治”時代」2018年6月13日付,第07版を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。


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