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新疆:科学技術がシルクロード経済ベルト中心エリアの建設を大きく後押し

2018年9月10日 朱彤(科技日報記者)

「一帯一路」革新の道

 8月13日午後4時、「ボーボーボー」という汽笛の音と共に、新疆八一鋼鉄有限公司の冷間圧延鋼コイルを満載した中欧定期貨物列車(中欧班列)が、ウルムチ集結センターの2番プラットホーム・第 4貨物エリアからゆっくりと出発した。これは、同集結センターから出発した612本目の定期貨物列車となった。

 新疆鉄路国際物流有限公司の劉昌林・総経理は取材に対し、「新疆ウイグル自治区はユーラシア大陸の奥地に位置し、シルクロードの北・中央・南の3本の主要ルートが合流する地でもある。ユ ーラシア大陸の東西を結ぶ大きなルートである『一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード)』が提起されたことで、これまで大陸部の『ポケットの底』のような存在であった新疆は、中 国が西側諸国に向けて開放する『最先端』の門戸となった」と、感慨深げに語った。

 同集結センターでは、物流プランの全行程が合理的に設計されており、大陸部各地からの輸出品をウルムチに集結させ、それらを一つの貨物にまとめ、中 欧定期貨物列車を適時増発しながら輸送するという経営モデルが形成されている。定期貨物列車の満載率は全国をリードしている。

 全国をリードしているのはこればかりではない。シルクロード経済ベルトの中心エリアという位置づけを基盤として機会を得て積極的な取り組みを行ってきた新疆は、2017年の「一帯一路」各省・自治区・直 轄市建設総合指数のランキングにおいて、広東、上海、浙江といった沿海部の経済が発達した省・自治区・直轄市と共に、トップ10に入った。

独自の風格を持った試験区の建設

 新疆ウイグル自治区党委員会常務委員、自治区副主席の張春林氏は記者発表において、中心エリアの成果について評価し、「シルクロード経済ベルト・イノベーション駆動型発展試験区(以下、イ ノベーション発展試験区)の建設は積極的に推進され、12カ国との間で102件の国際科学技術協力プロジェクトが実施された」と述べた。

 「一帯一路」の建設を推し進める多くのプロジェクトの中でも、イノベーション発展試験区は特に注目を集めている。新疆と科学技術部、深圳市は2016年10月、中国科学院と「四者協力覚書」を交わし、画 期的なイノベーション発展試験区の建設をスタートした。

 試験区は中国西部の辺境の後進地域を立脚点として、「一帯一路」とイノベーション駆動型発展を一体化するもので、これは新疆にとって初の試みとなる。試験区はトップダウン設計の中で提起されたもので、5 ~10年間を費やして、シルクロード経済ベルト・革新リードモデル区、科学技術成果の転化モデル区、新興産業集約・発展センター、国際科学技術イノベーションセンターなどを建設し、新 疆をユーラシア大陸における経済協力の中心へと成長させ、「一帯一路」の建設において、しかるべきリーダーシップと模範・けん引の役割を発揮していくことを目指す。

 試験区は設立からまだわずか2年余りだが、すでに中心エリアの建設を大きく促進している。新疆科学技術庁の劉智敏副庁長によれば、試験区はすでに、重要なイノベーション・創 業プロジェクト126件を展開しており、投資総額は1746億元に上る見通しだ。また、40件に上る重要な技術協力プロジェクトの契約も結んでおり、その金額は211億元に上る。さらに、中 国中央アジア科学技術協力センター、中国・タジキスタン農業科学技術モデルパーク、ウルムチ中央アジア民族医学医薬品開発イノベーション国際協力基地、カラマイ中英共同スマート製造イノベーションセンター、石 河子中国・オランダ国際育種協力基地といった、国際的な科学技術協力のプラットフォームの建設も着実に進められている。

科学技術協力プロジェクトが着実にスタート

 ここ数年、「一帯一路」に呼応する形で、新疆の研究機関と企業は中央アジア諸国の関連機関との緊密な協力を加速しており、科学技術協力プロジェクトが着実にスタートし、科 学技術協力がもたらした変化がそこかしこに現れている。

 タジキスタンでは2015年、化学原料メーカーの新疆中泰集団公司と新疆生産建設兵団の協力により、中泰新シルクロードタジキスタン農業紡績産業パークが建設された。同産業パークはすでに完成し、1 2万錘規模の紡績プロジェクトは、現地の紡績産業の風向計とも言われている。

 中泰集団の李良甫・副総経理は、「このプロジェクトで採用された先進技術と設備により、タジキスタンの紡績業の水準が20年分前進したほか、現地で3000人あまりの雇用を創出した」と語る。

 中国科学院新疆生態・地理研究所からタジキスタンに輸出されたバイオ防虫技術により、タジキスタンの綿畑の4割で害虫が効果的に抑制された。新疆生態・地理研究所はタジキスタンの農業・林 業における重要な害虫10種類あまりに焦点を当て、タジキスタン動物研究所の研究者と共に侵略的種の共同研究を6年間にわたって継続し、タ ジキスタン有害生物の地域モニタリングと早期警戒のプラットフォームを共同で立ち上げ、タジキスタンの農業・林業害虫駆除に向け、基礎データと科学的根拠を提供した。

良き友人と知り合う

 陸路の出入国検査場から、世界で唯一のクロスボーダー協力センターへと転身を遂げたホルゴスは、「一帯一路」の最大の受益者と言えよう。ホルゴスに建設された中国―カザフスタン国際国境協力センターは、新 疆の対外貿易の重要な窓口となり、投資総額300億元の35件のプロジェクトが入居し、協力センターはたちまち人であふれるようになった。今年1月~7月に、中国―カ ザフスタン国際国境協力センターを利用した人は延べ約250万人に上った。

 北京理工大学に留学したカザフスタン出身のアリクさんは、かつては通訳者であったが、協力センターのカザフスタンエリアでワイン販売の事業を開始し、カ ザフスタン産のワインやブランデーの取次販売を手掛けている。アリクさんは中国語で「ここに来たばかりのころ、顧客は少なかったが、今ではここに商談に訪れる中国人がますます増えた。『一帯一路』は 我々に新しいチャンスをもたらした」と語った。現在、アリクさんが最も嬉しいことは、ウルムチや広州など、各地から訪れた良き友人と知り合えたことだという。

 金億国際貿易有限公司は、ホルゴスで有名な輸出入企業だ。野菜や果物の輸出を主に手掛けており、昨年の貿易額は9000万ドルに達した。

 同社の野菜や果物の貿易輸送はこれまで多くの問題を抱えていたが、「一帯一路」により、かつてないほどの発展のチャンスが訪れた。現在、同社の新鮮な野菜や果物は、収穫から輸送、通 関までをスピーディに行うことで、24時間内にカザフスタンに到着することができる。

 同社の于歓・総経理は取材に対し、「2014年以降、『一帯一路』が徐々に発展するにつれて、我々とビジネスをしたいと言ってくる中央アジアの企業がますます増えた。輸出量は以前の数倍に増え、多 くの中央アジアの企業と友情を結ぶことができた。これは科学技術と文化交流・協力が双方の人々にもたらした便利さだ」と語った。


※本稿は、科技日報「新彊:科技為絲紬之路経済帯核心区建設“添柴加火”」(2018年08月22日,第04版)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。


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