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大慶ハイテク産業開発区:資源「ジンクス」を打破し「油田都市」への華麗なる転身を牽引

2018年12月17日 李麗雲(科技日報記者)

 中国の東北地区に位置する黒龍江省大慶市には中国最大の油田があり、石油産業が同都市の誇りであり、大黒柱であった。石油の埋蔵量は次第に減少しつつあるものの、油田で発展したこの資源型都市は衰退するどころか、逆にモデル転換の過程でアップデートの道を切り開いた。

 設立から26年目となる大慶ハイテク産業開発区は、都市のモデル転換・高度化のまさに主力軍という存在。近年、大慶は「中国全土の資源型都市のモデル転換の先頭に立つ」という目標を掲げている。この目標をめぐり、大慶ハイテク産業開発区は、「油頭化尾(原油で始まり、化学工業で終わる)」を突破口にし、石油のハイクオリティな加工を推進すると同時に、自動車、新材料、新エネルギーなどの戦略型新興産業を積極的に育成し、大慶のモデル転換の道を開拓し続けてきた。

産業チェーンを広げ、石油産業という「枯れ木に花を咲かせる」

 大慶油田が発見されたその日より、荒野から発展してきたこの都市は、必然的にモデル転換の難しさを経験することとなった。資源の枯渇という発展の「足かせ」を、どのように打ち砕けば良いのかという問題に対し、「油頭化尾」が近年、大慶のモデル転換と発展のキーワードとなっている。

 2017年、大慶市は資源の優位性や産業の基礎に立脚し、「『油頭化尾』産業実施プラン」を制定した。「油頭」とは、「大慶の石油」を温存し、「石炭」産出量を増やし、「ロシアの石油」と「ロシアのガス」で一部を補うという原則に基づき、「化尾」のために多元化した原料確保体系を構築することを指す。「化尾」は、エチレン、プロピレン、芳香族炭化水素、ブタンの4つの産業チェーンをめぐる、100万トンの精製化学品、100万トンの化学工業新材料、500万トン級のラバーという「三大産業」群の構築を指す。このプランに基づき、大慶は東北地区最大のエチレン生産拠点、最大の芳香族炭化水素生産拠点、世界最大の油田化学品生産拠点の建設に取り組んでいる。

 11月3日、大慶ハイテク産業開発区は、吉化集団と70万トンのポリカーボネートや川下自動車化学工業産業パークのプロジェクトを共同で実施することで合意した。これは、「油頭化尾」産業発展を推進する大慶ハイテク産業開発区の大きな成果の一つだ。「油頭化尾」という戦略において先頭に立つため、大慶ハイテク産業開発区は、石油化学経済に継続的に力を注ぎ、「油頭」のさまざまな道を切り開くことで、「化尾」という目的のためにいくつものルートを築いている。

 大慶ハイテク産業開発区管理委員会の韓雪松主任は、「我々は、特定項目産業基金を立ち上げ、キーポイントとなるプロジェクトの実施、建設に必要な資金問題を解決している。当パークは、4つの産業チェーンを取り囲み、60以上のノードプロジェクトを計画し国家級化学工業パーク2ヶ所、省級化学工業パーク1ヶ所のインフラを最適化に巨額の資金を投じ、パークの能力を向上させてきた」と説明する。

 今年に入り、大慶ハイテク産業開発区では、石油化学・製油の構造調整、モデル転換、アップロード、聯誼の年間550万トン軽質オレフィン製造プロセス、昊慶の50万トン硫酸カリウム、華科の20万トンC5C9総合利用など14プロジェクトの実施が始まっている。それら14プロジェクトが完了し、生産が始まると、大慶は、「製油1千万トン、エチレン100万トン」の生産能力を備えるようになり、100万トンの基礎化学工業原料を提供できるようになる。そして、大慶の石油産業を1000億元(1元=約16.40円)クラスに押し上げる見込みだ。

新たな原動力によって都市の転換モデルに「加速度」を

 安全で、高品質であることで知られる自動車メーカー・ボルボは、大慶ハイテク産業開発区に進出して以降、3分間に1台のペースで自動車を生産し、年間6万台の自動車生産能力を誇る。

 現在、「大慶で製造された」ボルボの自動車が、大慶が国際的な場における「名刺」となっている。大慶ボルボ製造有限公司の施戴維総経理は、「大慶工場で生産される製品の品質は、ボルボの世界基準に達している。生産される自動車も各国の顧客の間で好評を博している」と胸を張る。

 近年、大慶ハイテク産業開発区はボルボのおかげで、自動車の産業チェーンの発展を急速に進めている。わずか数年で、自動車産業は、「1000億元規模」へと拡大をはじめ、大慶の資源型都市へのモデル転換に対する強心剤を打ち込んだ。

 ハイテク企業が新たな原動力を得ているのを背景に、大慶ハイテク産業開発区は、大慶が資源型都市へ加速してモデル転換できるようサポートを提供している。10月16日、哈工大機器人集団と大慶ハイテク産業開発区管理委員会が共同で建設した大慶ハイテク産業開発区科創センターがオープンした。現在、高効率で省エネ型のエアサスペンションブロワー、生産の自動化・複合材料、スマート製造情報システム、画像ビッグデータの標示・明記システム、水中音響通信、歯科補綴スマート製造システムの6プロジェクトが同センターで実施されており、さらに5つのプロジェクトが今後実施されることになっている。全てのプロジェクトの5年後の生産額は10億元に達する見込みだ。現在、華為公司が大慶市と共同で設立した東北地区対象の、クラウドコンピューティングデータセンターが、大慶ハイテク産業開発区で完成した。大慶ハイテク産業開発区も、華為の勢い乗り、情報サービス、人工知能、「製造+サービス」、スマート製造などの戦略的新興産業の育成、発展に力を入れ、全力でテクノロジーイノベーション型産業群を構築している。

 

 現在、大慶ハイテク産業開発区は、大慶のモデル転換、高度化を中軸として牽引している。2015年から現在に至るまで、大慶ハイテク産業開発区に新たに進出したテクノロジー型中小企業は1015社となっており、2018年末の時点で、ハイテク企業は110社以上である。なかでも佳昌晶能や発見者機器人、英辰智能儀表など、コア技術を備えた数十社が急成長しており、中国国内の細分化された分野のリーディング企業、業界の基準制定者、参与者となっている。

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大慶ハイテク産業開発区の佳昌晶能公司は継続的なイノベーションにより総合的な競争力向上を実現している。

優れた環境を創出―誰が「投資は山海関を越えない」と言ったのか

 「7年前、北欧の謹厳な姿勢と大慶の闘争心がいい意味でぶつかり合い、美しい火花を散らした。」大慶ボルボ製造有限公司の呂楽揚・副総経理は、ボルボが大慶ハイテク産業開発区に進出してから7年間で飛躍的な発展を遂げたが、これは、大慶ハイテク産業開発区の効率の良いサービス、長期に渡るサポートと密接な関係があるとの見方を示す。

 そして、「大慶工場をスムーズに建設できるよう、大慶市政府が当時、専門のプロジェクト建設指揮部を立ち上げ、大慶市ハイテク産業開発区も各部門の審査を速やかにクリアできるようサポートしてくれたことをはっきりと覚えている。」ここ7年、このような効率の良いサービスがボルボの発展を終始サポートし、効率よい生産が保証され、コストも大幅に削減できているとする。

 大慶の創業記念日だった今年9月26日、大慶ハイテク産業開発区のワンストップサービス型の行政サービスプラットフォームの運営が正式に始まり、20部門で行う手続き、480の行政許可などが、一つの窓口で行えるようになった。設計コンセプトや機関統合、手続きモデル、サービスのプロセスなどの面で、省、ひいては全国でもトップクラスである。12月1日の時点で、同プラットフォームで行える行政許可などの手続きは499項目まで増えている。この行政サービス改革は、大慶ハイテク産業開発区が、「経済発展、社会ガバナンス、公共サービス、市場の監督・管理、環境保護、安全な生産、党の建設」という、総合的なガバナンス体系やガバナンス能力構築を推進するための重要な突破口となっている。

 「東北地区振興のカギは環境である。」「投資は山海関を越えない(東北地区には集まらない)」というジンクスを打ち払い、東北地区で最良のビジネス環境を構築するために、大慶ハイテク産業開発区は、職員全員を対象に幹部任用制度・聘任制を実施し、身分管理をポスト管理に変え、幹部の身分を臨機応変に管理し、職員の流動を自在に行えるように整え、ポストも上下するメカニズムを採用した。成果評定においては、成果報酬型を取り入れ、成果を基に優秀職員、先進職員を選出し、昇進を決め、「頑張れば報酬が増え、成果がなければ減る」という奨励制度を採用している。また「起業六条」政策を実施して、企業の負担を減らし、資質認証、研究成果の実用化、電気代補助、上場などの面で補助金を支給して、企業の経営コスト削減をサポートしている。また、人材獲得をめぐる施策を行い、ヒューマンリソースの新たな高みを構築し、職階の評価・審査、業務試験、定住手続き、医療保険、証明書の申請・受け取り、子供の就学などのワンストップサービスを提供し、専門家向けの質の高いマンションを建設している。

 ここ26年間において、大慶ハイテク産業開発区は、変革しながら発展し、発展しながらレベルアップするという、独特のモデル転換の道を歩んできた。現在、中国全土で知られる「鉄人の精神」は、伝統石油 掘削、採掘だけにとどまらず、伸びる産業チェーン、新しい原動力への移行などにおいても発揮され、新たな時代が築かれている。


※本稿は、科技日報「大慶高新区: 打破資源魔呪,引領“油城”華麗転身」(2018年12月4日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。


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