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『中国の科学技術力について』 書評

『平成21年版中国の科学技術力について(ビック・プロジェクト編)』 単行本: 168ページ
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  • 編著者:独立行政法人 科学技術振興機構中国総合研究センター
  • ISBN: 978-4-88890-299-01 / CRC書籍番号: CRC-FY2009-05
  • 発行日: 2010/01 Printed in Japan
  • 商品の寸法: 29.7 x 21.0 x 0.8 cm
  • 在庫: 無し
『平成21年版中国の科学技術力について(総論編) 単行本: 195ページ
書籍イメージ
  • 編著者:独立行政法人 科学技術振興機構中国総合研究センター
  • ISBN: 978-4-88890-303-5 / CRC書籍番号: CRC-FY2009-04
  • 発行日: 2010/01 Printed in Japan
  • 商品の寸法: 29.7 x 21.0 x 1.0 cm
  • 在庫: 無し

推薦者:

林 幸秀 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構副理事長・JST研究開発戦略センター特任フェロー

 中国の経済は現在怒濤の勢いで発展しており、来年には日本を追い抜いてGDP世界第二位となるのはほぼ間違いないと言われている。経済を支えている科学技術についても、ここ近年相当の勢いで発展している。

 しかしながら、従来より日本の科学技術関係者は米国や欧州の動向にのみ眼を奪われ、中国の科学技術動向について余り知ろうとしなかった経緯がある。私も長い間科学技術行政を中心に働いてきたが、その関心はもっぱら欧米の動きが中心であって、中国を含むアジア諸国はともすれば技術援助的な国々であると考えてきた。私がその様な考えを根本的に改めたのは、2003年に中国の上海を訪れその経済発展に圧倒されるとともに、大学や研究所の変貌を目の当たりにしたためである。浦東地区を中心とした上海の発展は凄まじく、それに比して経済の伸び悩みに沈んでいる日本を思い、このままでは日本はどうなるのであろうという気持ちに捕らわれたのを今でも鮮明に覚えている。

 上海訪問を契機に中国の科学技術の動向に強い関心を持ち、中国の大学などの研究現場を何度も訪れ、日本でも文献などを当たって調査をしてきたが、中国全体の科学技術力をまとめたものが殆どないことが判った。そこで2008年に、中国の科学技術のデータを持ってJSTの中国総合研究センターに関係者とともに集まり、議論を行った上で作成したのが「中国の科学技術力について」と言う冊子である。これは、文部科学省、科学技術政策研究所、JSTなどに分散していた資料・データを整理・分析したものである。

 その後も中国の科学技術の進歩は非常に著しく、出来るだけ早く増訂をしたいと考え、前回同様にJST中国総合研究センターをベースとして、昨年の夏以降準備を進めてきた。今回は単に前回の資料の改訂だけでなく、科学技術の実力を示す重要な分野である原子力開発・宇宙開発・海洋開発のいわゆるビッグ・プロジェクトについても、出来るだけ情報を収集し、整理して掲載することとした。作業を進めていく中で、このビッグ・プロジェクトの部分がかなり大部なものとなったため、前回の改訂部分は「中国の科学技術力について(総論編)」とし、新たに追加した原子力開発などの部分は「中国の科学技術力について(ビッグ・プロジェクト編)」として刊行することとした。

 今回刊行した2冊をお読みいただくと、中国の科学技術の外観が把握できると思う。現在のところ材料科学・化学・物理学などの一部の分野を除いて、日米欧の科学技術先進諸国と比して中国の科学技術力はまだそれ程ではない。今回調査・整理をしたビッグ・プロジェクトにおいても、宇宙開発が日本と同等と考えられる以外はまだ先進諸国と差がある。しかし、上昇速度は圧倒的であり、元々の強みである人材の層の厚さが更に活かされるようになると先進国入りするのは時間の問題である。今後の我が国の政治・経済・社会を考える際に、中国との距離感をどうするかが大変大きな課題と考えられるが、科学技術の分野においても中国とどの様に協力関係を構築していくかが大きな課題と考えられ、その意味で今回の「中国の科学技術力について」の二分冊は、今後中国といかにしてウィン・ウィンの関係を構築していくかの参考になると期待しているところである。

馬場錬成

林 幸秀:

1948年富山県生まれ。東京大学工学系大学院修士課程(原子力工学専攻)卒業後、科学技術庁入庁。在米国日本国大使館参事官(科学技術担当)、文化庁審議官(著作権・国際担当)、文部科学省科学技術・学術政策局長、内閣府政策統括官(科学技術政策担当)等を経て、文部科学省文部科学審議官就任。2008年退官後、独立行政法人宇宙航空研究開発機構副理事長。JST研究開発戦略センター特任フェローを兼務。JST中国総合研究センター中国科学技術力研究会主査。


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