2009年08月03日-08月07日
トップ  > 科学技術ニュース>  2009年08月03日-08月07日 >  世界で最も高精度な月面地形図、来月にも完成

世界で最も高精度な月面地形図、来月にも完成

2009年08月06日
画像

 月周回探査計画地上応用システムの李春来・総設計師は4日取材に応じ、月探査の成果について解説した。「科技時報」が6日伝えた。

 月全体の画像作成に成功したことについて、李氏は「CCD立体カメラで月面の全区域をカバーする1098軌道の画像データを獲得した。画像データがカバーする範囲をみても、月 表面の地形の特徴や細部をみても、明らかにこれまでの世界の月面画像よりも優れている。今のところ世界で最もデータが揃い、データの一致性が高く、画質もよく、定位精度が高い月全体の画像だといえ、新 しい月面の基本地図にもなりうる」と紹介した。

 李氏によると、まもなく3D地形図も完成するという。「現在のDEM(数値標高モデル)地図は主にレーザー高度計データを利用して作成されているが、C CD立体カメラデータを使って作成した地形図が来月には完成する。これは世界的にも解像度が最も高い月面全体の地形図だ。月探査衛星『嫦娥一号』のレーザー高度計から得られた900万以上の標高データを使って、現 段階で精度が最も高い解像度3キロの月面DEMが作成された」と李氏は説明。

 今回の探査で、月面に存在する多くの元素の分布が初歩的に解明された。中国の科学者はガンマ線スペクトロメータデータで、3種類の天然放射性元素U、Th、Kの月面分布図と、Fe、Ti、Mg、Al、S iの区域分布の研究を完成、イメージング分光測定装置によるハイパースペクトルデータの研究のほか、月表面の岩石の分布や地質構造の研究などに役立てられる。

 このほか、月全体のマイクロ波輝度温度データも得られ、月面の土壌の厚さやヘリウム3の資源量の初歩的な分析が行われた。さらに太陽風と高エネルギープラズマの未開発データも獲得でき、太 陽風が月表面で反射する現象や極地の昼夜境界線付近の加速現象が発見された。

写真(上):レーザー高度計データで作成した月のDEM地形図。
写真(下):月探査衛星「嫦娥一号」からのデータで作成した高精度な地形画像。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます