2009年08月17日-08月21日
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中国の専門家、肝臓中で炎症を抑制するタンパクを発見

2009年08月21日

 軍事医学科学院の賀福初・院長(中国科学院院士)が率いるプロテオミクス(細胞や生体の全タンパクのカタログ化を目指す研究)国家重点実験室がこのほど、肝臓中の重要な免疫調節タンパク質「 LSECtin」を発見した。LSECtinは、肝臓中で特殊な働きをする免疫調節分子としては、初めて発見されたものであり、知的所有権を有する機能タンパクで、肝 臓の炎症に関わる病気の特効薬となる可能性がある。この重要な成果はこのほど、消化系疾病研究分野で世界で最も権威のある専門誌「World Journal of Gastroenterology」により、オ ンラインで発表された。「科技日報」が21日に伝えた。

 賀福初・院士は、唐麗博士、楊俊涛博士ら研究者を率いて、ヒトの胎児肝臓の新遺伝子・新タンパクを研究してきた。この基礎の上に6年間の研究を重ね、肝臓の中から炎症細胞を消す「功労者」の1つ、L SECtinを探し出した。

 唐麗博士は、「LSECtinはアクティブな炎症細胞を識別することができ、それらの増殖を抑えると同時に、炎症を起こすのを抑制することができる。私 たちは最先端の遺伝子除去技術を利用して動物の体内からLSECtinを完全に取り除いたところ、炎症細胞が明らかに増加し、炎症因子も急激に増加した。この研究の成果は『肝臓免疫学』理 論をさらに豊富にする上で重要な基礎を打ち立てることとなった」と述べる。

 賀院士の研究チームが、急性自己免疫性肝炎をわずらった動物にLSECtinを注射したところ、肝臓の炎症因子が明らかに減少し、肝臓組織の損傷が緩和し、アミノトランスフェラーゼの値も下降し、著 しい治療効果が現れた。このことから推測するに、LSECtinは肝臓の炎症に関わる病気の特効薬となる可能性があるという。

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