2010年03月01日-03月05日
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国内外の天文学者、惑星の質量流出プロセスを初研究

2010年03月02日

 国内外の天文学者からなる研究グループはこのほど太陽系外惑星WASP-12bに対する研究を行い、同惑星が主星(恒星)から非常に近い距離にあるために、質量の流出が加速していることがわかった。同 研究は北京大学のカヴリ天文・天体物理研究所(KIAA-PKU)が中心となって行ったもので、関連の論文はこのほど出版された雑誌「ネイチャー」に発表されている。「科技日報」が2日に伝えた。

 同研究により、惑星WASP-12bは、主星から極めて近い距離を公転しているため(約1日で主星の周りを1周する)、潮汐力によって惑星内部で摩擦が発生し、惑星内部が加熱して、全体が膨張・変 形していることがわかった。同惑星は現在、変形によりまるでラグビーボールのような楕円形を呈している。

 この数値により、潮汐力によって引き起こされた惑星の変形と加熱が、WASP-12bの膨張に十分なエネルギーを与えたことが判明した。惑星内部の加熱により、惑 星が現在の大きさにまで膨張することができると証明されたのは今回が初めて。

 また、WASP-12bは潮汐力によって巨大な半径を持ったことにより、質量が急速に主星に奪われているという。論文の第一作者である李抒璘氏は、「WASP-12bの半径が巨大化したことにより、主 星との間がロシュ限界(惑星や衛星が破壊されずにその主星に近づける限界の距離)に近づいている。このことは、WASP-12bが、毎秒60億トンの速度で質量を主星に奪われていることを意味する」と述べる。こ のスピードだと、この惑星は1000万年以内に主星に飲み込まれてしまうという。

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