2010年04月05日-04月09日
トップ  > 科学技術ニュース>  2010年04月05日-04月09日 >  中国人学者 CO2吸収源の見積もりに新観点 

中国人学者 CO2吸収源の見積もりに新観点 

2010年04月15日

 世界的な地学雑誌「Earth-Science Reviews」の最新刊において、中国科学院地球化学研究所の劉再華・研究員らによる文章「大気中のCO2吸収源見積もりの新方向:炭素塩による溶解、地 球規模の水循環、水生生物の光合成による影響を総合的に考慮」が掲載され、注目を集めた。

 同文章は劉研究員らがこれまでに行った研究「重要なCO2吸収源(カーボンシンク)の可能性をもつ、地球規模の水循環による無機炭素の溶解」を基礎に、新たな観点を全面的に説明するものだ。「科学時報」が 15日に伝えた。

 現在、地球の大気におけるCO2吸収源の研究は主に、海洋におけるものと、土壌・植被によるものに集中している。劉研究員らは理論計算と野外観測データを元に、以下の内容を発見した。

 地球規模の水循環に伴う、重要な大気中のCO2吸収源が存在するが、これまで過小評価されてきた。これは炭酸塩による溶解、世界規模の水循環、海洋および陸上の水生植物の光合成により発生するものだ。こ れらの吸収源によるCO2吸収量は毎年8億2400万トンに上り、人類の活動により排出される二酸化炭素量の10%にあたる。このうち4億7200万トンは、海上の降水(年間2億2800万トン)と 陸地の河川の流れ(年間2億4400万トン)により海洋に流れ込み、1億1900億トンは大気に再び放出され、年間2億3300万トンが有機炭素の形で陸地の水生生態システムに保存される。こ のため実質的な吸収量は年間7億500万トンとなる。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます