2010年04月12日-04月16日
トップ  > 科学技術ニュース>  2010年04月12日-04月16日 >  中国科技大・仏大チーム 過酸化物の存在を確認

中国科技大・仏大チーム 過酸化物の存在を確認

2010年04月20日

 中国科学技術大学国家同歩輻射(放射光)実験室斉飛教授研究チームはフランスのナンシー大学バッティン・ルクレール教授研究チームとともにこのほど、有 機化合物の低温酸化メカニズムに関する約20年にわたる広範囲な応用から生み出された重要な仮説「過酸化物の存在」を実験において初めて確認した。これにより有機化合物の自燃性の謎が解き明かされたことになる。こ の研究成果はこのほど出版された著名学術誌「ドイツ応用化学」に発表された。同大が明らかにしたとして、新華社のウェブサイト「新華網」が19日伝えた。

 斉教授のチームとフランスの研究者は、国家傑出青年基金や中国科学院、そして科学技術部の支援を受けて昨年6月に実験をスタート。真空紫外放射光のイオン化質量分析技術と放射流攪拌反応器とを結びつけ、エ ンジンの点火プロセスをモニタリングして、ブタン(一種の易燃性の揮発性有機化合物)の低温酸化プロセスで過酸化したメタンやブタン、4 つの炭素を含むカルボニル基の過酸化物といったさまざまな過酸化物を確認した。実験で過酸化物の存在が確認されたのはこれが初めてだ。

 今回の成果は、有機化合物の低温酸化メカニズムのさらなる解明にプラスになるととともに、長所を生かし短所を補いつつ自燃現象を利用するのにプラスになり、ま た内燃機関の設計や石油化学工業の安全性といった実用分野にも重要な意義をもつものだといえる。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます