2010年07月01日-07月02日
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中国 原発の安全管理で3つの試練

2010年07月02日

 このほど終了した「第5回緑色財富フォーラム(Eco-Fortune Forum)」で、環境保護部核・放射線安全センターの田佳樹主任は、「原子力発電中長期計画の実現プロセスにおいて、中 国の原子力発電安全管理は▽基準の不統一▽多部門による管理▽人材不足--などの問題に直面している」と述べた。「科技日報」が2日に伝えた。

 田佳樹主任の発言内容は以下のとおり。

 中国の原子力発電安全管理における1つ目の問題は、法規・基準確立の遅れと不統一だ。すでに完成している原子力発電ユニット11基は、様々な原子力技術が混在している状態だ。第 2世代の改善型ユニットがある一方で、米国、フランス、カナダ、ロシアなどから導入したEPR、AP1000、CANDU、HTRなどの発電ユニットも存在し、さらには中国が独自開発した30万キロワット、6 0万キロワットのユニットもある。

 これらのユニットは、システムや技術標準がそれぞれ違うため、運行や管理モデルも様々で、統一された基準や規範が作りにくく、安全管理も難易度が高くなっている。

 また現在、中国における原子力発電管理は、国務院国家原子力発電自主化業務指導グループ、国家原子力エネルギー機構、工業情報化部、国家発電改革委員会、国家エネルギー局、環境保護部および、中 国電力企業連合会など、8つの機関・部門が行っている。これらの部門はそれぞれ、原子力発電エネルギー戦略計画の制定、プロジェクト建設の審査・認可、安全管理および、業界の自主規制などの業務を担当している。多 部門による管理も問題の一つとなっている。

 このほか、原子力発電の急速な発展により、原子力工業界の短期的な人材不足と能力不足などの問題がもたらされている。人材不足は中国の原子力発電発展が直面する第3の問題だ。

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