2010年12月20日-12月24日
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中国スパコン「世界一」、今後の発展方向は?

2010年12月21日

 世界最速のスーパーコンピュータを決める「トップ500スーパーコンピュータ」 ランキングがこのほど米国ニューオーリンズで発表され、トップ3以内に中国のスパコンが2台ランクインした。国防科学技術大学が開発した「天河一号」が演算処理速度毎秒2570兆回でトップとなり、中国科学院計算所と曙光公司が開発した「星雲(ネビュラ)」が毎秒1270兆回で3位となった。 

 中国科学院計算所の孫凝暉副所長(曙光公司首席科学者)は「世界的に見ると、高性能コンピュータは3年から3年半で性能が10倍に向上する。スピードの追求は永遠にとどまることが無い。スピードを求める一方で、応用をしっかり結び付けなければならない。プラットフォームがあるだけでは価値は無い。応用こそが価値となる」と述べる。

 曙光集団の歴軍総裁は「クラウドコンピューティングは、情報産業における今後数年間の発展のすう勢となるだろう。このことは我々に新たなチャンスをもたらした。我々は『クラウドスーパーコンピューティング』という一つの方向性を提起している。クラウドコンピューティングの本質は、集中的なコンピューティングとストレージを実現させることであり、これは高性能コンピュータ産業の成長・発展に向け、条件を創り出した」と述べる。

 歴総裁はまた、「将来的には、ユーザーにハードウェアを提供するだけでなく、サービス能力を高め、総合的なソリューションを提供する能力を高め、プロジェクトの設計・開発能力を高め、普及・応用に向けて努力を積み重ねることが重要になってくる」との見方を示し、「曙光公司の成都クラウドスーパーコンピューティングセンターはすでに完成している。今後、同様のセンターが5-10カ所建設される。今後3-5年間の目標は、全国の各省・自治区・直轄市にそれぞれクラウドコンピューティング業務に対応するスーパーコンピュータセンターを設立することだ。自動車、原子力発電、鋼鉄、新材料、航空機製造など、ますます多くの工業企業が我々スーパーコンピュータセンターの顧客となりつつある。今後さらなる改善を重ね、ますます多くのユーザーが少ない投資でハイエンドのコンピューティングサービスを受けられるようにしていく」と述べた。

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