2011年05月16日-05月20日
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エンデバー搭載のアルファ磁気分光器、中国も開発に参加

2011年05月18日

 素粒子検出器「アルファ磁気分光器(AMS-02)」が16日、スペースシャトル・エンデバーに搭載され、宇宙へと飛び立った。「人民日報」海外版が18日に伝えた。

 AMS-02は、ノーベル物理学賞受賞者で米国籍中国系物理学者の丁肇中教授が筆頭となって推進する大型宇宙科学実験プロジェクトだ。AMS-02は宇宙ステーションに永久的に設置され、宇宙の暗黒物質や反物質の存在を検出する。

 しかし、16の国家と地域、約60の機関と大学から構成される、約600人の国際的な科学者チームが20年近く心血をそそぎ、総工費20億ドルをかけて製作されたこの「AMS-02」に、中国製の熱制御システムと永久磁石が設置されていることは、あまり知られていない。人民日報海外版が18日に伝えた。

 ▽中国製の熱制御システム

 「AMS-02」の熱制御システムは、山東大学の科学者が筆頭となって研究したもので、宇宙空間における電磁石の温度調節という問題を人類史上初めて解決した。

 山東大学が研究、設計、製造したこのシステムは2006年10月、ジュネーブのAMS-02組み立てセンターに運ばれた。その後、2007年8月にドイツ・ミュンヘンでの性能テストに合格。中でも、新型ループヒートパイプの技術水準は世界最高とされた。

 ▽中国製の永久磁石

 中国科学院高エネルギー物理研究所の陳和生所長(中国科学院院士)は、「AMS-02の内部に、『メイド・イン・チャイナ』の永久磁石が設置されていることは、あまり知られていない。この磁石は内径約1.2メートル、重さ約2.6トン、中心部の強度1370ガウスで、リング型をしている」と述べる。

 NASAは宇宙船に搭載する大型設備に対し、慣例では3回の安全テストを行うが、中国製のネオジウム磁石は2回のテストで順調に合格した。関係者によると、NASAのテストに2回で合格したのは今回が初めてだという。

 AMS-02は少し前、宇宙シュミレーションテストを行った。科学者はテスト結果に基づき、かつてAMS-01に使われた中国の永久磁石を引き続き用いることで、使用寿命を18?20年にまで延ばすことができるとの結論を下した。

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