2011年06月13日-06月17日
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「天河1号」を利用し、分子シミュレーションの世界記録達成

2011年06月13日

 中国科学院過程工程研究所はこのほど、高い計算能力を誇るスーパーコンピュータ「天河1号」のGPUを利用し、分子動力学シュミレーションを実行、分子シュミレーションの世界記録を達成した。新華網が12日に伝えた。

 同研究所の研究員である葛蔚氏によると、同研究所は「天河1号」に搭載された7168個のNVIDIA製GPUを利用し、大規模な分子動力学シュミレーションを実行。太陽電池や半導体産業でよく使われる結晶シリコンのミクロ挙動を解明した。このシュミレーションのために記述されたプログラムは約1万行にのぼり、うちコア部分の計算は約2千行のCUDAコードにより実施された。最終的に、単精度浮動小数点演算の持続的な処理速度は1.87ペタフロップスを達成した。

 このシュミレーションはトータルで約3時間を要し、高度な統計・分析に必要な十分な時間がかけられた。また、幾度にもわたる検証の結果、シュミレーション結果が正しいものであることが確認された。研究者らは現在、シュミレーション結果の分析とプログラムの改善を急ピッチで行っており、計算性能はさらに向上する可能性がある。

 「天河1号」のGPUを生産したNVIDIA社によると、今回のシュミレーションでの計算性能は、以前最高性能を打ち出した分子シュミレーションの5倍、規模も2倍以上だった。今回のシュミレーションでは、約1100億個の原子のミクロ挙動を描き出したが、以前の記録は490億個の原子に対するもので、浮動小数点演算性能も369テラフロップスだった(注:1000テラフロップス=1ペタフロップス)。

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