2011年08月01日-08月05日
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米国で対中医学研究援助凍結の声

2011年08月02日

 米国立衛生研究所(NIH)が過去10年間に中国に9000万ドル以上の研究費を援助していたことがわかり、米保守系団体・メディアが激怒している。人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」が1日付で報じた。
 
 米ニュースサイト「FOX NEWS.com」は7月30日付で、米国各地の教会からなる保守系団体「The Traditional Values Coalition」(TVC)による調査結果として、NIHが過去10数年間に中国に9000万ドル以上の研究費を援助しており、うち3000万ドルが過去2年半のものであることを報じた。これらの研究費は主に、中国の大学や研究機関による中国市民関連の医学研究に充てられたという。

 記事によるとTVCはすでに議会の歳出委員会にNIHへの資金拠出の6カ月間の凍結を求める書簡を出した。TVCのラファティ代表は「中国が1兆ドルもの米国債を保有し、わが国が財政破綻へ向かっている時に、なぜ数千万の納税者のお金を中国とその研究機関の利益になる研究事業に与えているのか?これは受け入れられないことだ」と指摘。一方NHI側は「学問と政治を一緒くたに論じるべきではない。中国は世界最大の人口を擁し、医学研究分野の機会が多い。これは米国を含む全世界の人々に利益をもたらすものだ」と反論している。

 NIHは生命科学研究において世界で最も重要な研究機関の1つ。米連邦政府は国防総省に次ぐ研究費をNIHに拠出している。

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