2011年08月15日-08月19日
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「蛟龍号」水深5188メートルの潜航に寄与した独自開発モーター

2011年08月19日

 水深5000メートルの試験潜航任務を無事達成した有人潜水艇「蛟龍号」は順調に帰路に就き、16日に江蘇省江陰市の蘇南国際埠頭に帰還した。長江日報が18日付で伝えた。

 中国船舶重工第七一二研究所によると、蛟龍号には同研究所が独自開発した国内初の深海モーター3台が搭載されている。これらは蛟龍号の「足」に相当する。モーターが正常に稼働することで、海中での自由な移動が可能になる。深海モーターの技術的な難しさは水密性にある。深海では水圧でモーターが変形したり、浸水により故障するおそれがある。深く潜るほど、水密性の確保は難しくなる。また、深海の環境は複雑なので、単なる運行に止まらない機敏な動きも必要となり、非常に高い技術が要求される。

 同研究所は中国で唯一の、船舶用電力推進装置を専門とする研究所だ。これまでの無人潜水艇モーターの開発経験を基礎に、1年間を費やして、完全な水密性、機敏な航行、海中での各種試練への対応能力など技術上の難関を攻略し、蛟龍号用の高性能深海モーター3台を独自開発した。

 深海潜航前の試験で、これらのモーターは各指標で世界先進水準の性能を示した。特に騒音は外国の同タイプのモーターより10デシベル低かった。このモーター3台を搭載した蛟竜は7月21日から8月1日にかけて水深5188メートルの潜航に成功した。高性能深海モーター技術を掌握している国はこれまで米国やロシアなど数カ国に限られていた。米国は深海モーターを対中輸出規制リストに入れている。蛟竜の潜航成功は、中国が高性能深海モーター技術を掌握したことを示している。

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