2011年09月05日-09月09日
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国際宇宙ステーションに中国の力が必要=NASAの元宇宙飛行士

2011年09月08日

 米国宇宙船の退役、ロシア宇宙貨物船の打ち上げ失敗等のニュースにより、近頃国際宇宙ステーションに注目が集まっている。NASAの元宇宙飛行士の焦立中氏(リロイ・チャオ、中国系米国人)はこのほど、「米国は現在、宇宙飛行の空白期間にある。国際宇宙ステーションのプロジェクトに中国を招くべきだ」とする文章を発表した。北京青年報が7日に報じた。

 ◆国際宇宙ステーションがもぬけの殻に

 焦立中氏は1990年~2005年までNASAに勤務し、国際宇宙ステーションに4回派遣され、2009年にはNASA有人宇宙飛行計画再検討委員会の委員に選ばれた。同氏は文章の中で、国際宇宙ステーションがもぬけの殻となることについて、懸念を表明した。

 米国が今年7月にスペースシャトルのプロジェクトを終了すると、国際宇宙ステーションへの乗組員と物資の輸送はロシアの宇宙船のみが頼りとなった。しかし8月末、宇宙貨物船プログレスが打ち上げに失敗した。ロシアが短期間内に新たに宇宙船を発射できなければ、宇宙ステーションの乗組員は物資欠乏の危機に陥り、地球に帰還することになるだろう。

 ◆中国による協力が必要

 焦立中氏は、NASAの宇宙船の退役が相次ぎ、米国は宇宙飛行の空白期間に当たるとした。この空白期間中、米国は独自に宇宙飛行士を宇宙に送り込むことができない。この状況は、NASAが新たな設備を開発するか、その他の政府もしくは商業宇宙船開発プロジェクトが現れるまで継続される。アナリストは、「新たな宇宙船が作業能力を備える前に、米国が同様の開発プロジェクトを実施することはない。この期間は短くとも5年間続くだろう」と指摘した。

 これについて焦立中氏は、「米国とロシアを除けば、中国は人類を宇宙に送り出す能力を持つ唯一の国家である。ゆえに米国は国際宇宙ステーションのプロジェクトに中国を招くべきだ」と提案した。中国の宇宙事業発展計画によると、中国有人宇宙計画は3つのステップを踏まえた上で実施される。第1ステップは、無人・有人宇宙船を打上げ、宇宙飛行士を安全に近くの軌道に送り込むことだ。2003年、中国人宇宙飛行士の楊利偉氏が宇宙飛行を実現し、無事に帰還した。

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