ジャイアントパンダは厳密に言えば肉食動物だ。しかし、パンダは竹や笹だけを食べて生きている。竹の細胞は植物繊維であるセルロースで結びついているため、消化しにくく、人体はセルロースを吸収することができない。しかし、パンダは毎日9キロから14キロの竹を食べている。パンダがなぜ肉食をやめて竹や笹を食べるようになったのかは、研究者たちにとって長年の謎だった。光明網が22日に伝えた。
中国人研究者らがこのほど行った研究により、パンダの内臓にはセルロースの分解を助ける細菌がいる可能性が明らかになった。
中国科学院の魏輔文(Wei Fuwen)氏は米「ライフサイエンス」誌のインタビューに答え、「もし完全に分解できるならば、竹に含まれるセルロースだけでパンダが必要なカロリーの半分以上を補給することができる。しかし、セルロースは消化吸収が難しいため、パンダが竹のセルロースから摂取するカロリーの割合は低いだろう」と語った。
パンダが竹からいかにしてエネルギーを摂取しているのかを明らかにするため、研究者らは野生のパンダと飼育されているパンダの糞に含まれる細菌を分析した。その結果、85種類の細菌が発見され、うち14種類はパンダ特有のものだった。魏氏らはその後、草食動物の腸内で見つかるものに似た細菌を分析し、セルロース分解を助ける遺伝子を探した。
魏氏らが発見した細菌は主にクロストリジウム属の菌だった。魏氏は「クロストリジウム属の菌はセルロースを分解できる可能性がある。この過程でエネルギーの一部を消耗するが、残りのエネルギーはパンダが吸収すると見られる」と語る。
しかし、魏氏らはこの菌が実際にセルロースを分解するかどうかをテストしたわけではなく、また、パンダがセルロースを消化吸収しているかどうかをテストしたわけでもない。
北里大学の千秋達也氏は研究成果について「決定的なものではない。いかなる細菌・遺伝子・酵素の存在が確認されたとしても、それがセルロースの消化を助けたことを意味するわけではない」としている。