2011年11月01日-11月04日
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神舟8号、宇宙飛行士のダミー人形2体を搭載

2011年11月02日

 白い船内宇宙服を着て狭い座席シートに横たわり、体はベルトでしっかりと固定されている--。現在宇宙空間でドッキング目標機「天宮1号」の後ろを追いかけている宇宙船「神舟8号」の船内には今、2人の「宇宙飛行士」が乗っている。人民日報が2日に伝えた。

 中国宇宙飛行士センターが明らかにしたところによると、神舟8号には宇宙飛行士と同じ体重を持ち、生体機能をシュミレーションする各センサーがついたダミー人形2体が搭載されているという。

 同センターの専門家・許志氏によると、ダミー人形はそれぞれ重さ75キロで、本物の船内用宇宙服を着、生体機能をシュミレーションできる装置が設置してある。この装置を通じ、心拍数、呼吸、体温、血圧のデータを地上に伝送することができる。

 ダミー人形が着ている宇宙服は、宇宙船の打上げ・帰還・軌道変更時に宇宙飛行士が実際に着るもので、緊急時は命を救う役割も果たす。船内の空気漏えいによる減圧が発生した場合、宇宙服は直ちに飛行士に酸素を提供する。

 宇宙服専門家の劉向陽氏によると、現在女性宇宙飛行士用の宇宙服を開発中で、体型にあわせて体にフィットする作りになるという。

 ▽非常時用の宇宙食も搭載

 神舟8号にはこのほか、宇宙飛行士が非常時に食べるための宇宙食も搭載されており、数日後に地球に帰還後、テスト・分析を行うという。

 有人宇宙飛行において、非常時用食品の用途は2つある。1つ目は宇宙船の帰還が遅れた場合、帰還モジュールの中で船内宇宙服を着たまま食べるため。2つ目は、宇宙船が予定の着陸エリアに落下しなかった場合、海や砂漠、ジャングル、寒冷地などで食べるためだ。

 宇宙食の専門家・陳斌氏は、「神舟8号は無人宇宙船であり、模擬部品も多いが、非常時用食品は本物だ。宇宙飛行を通じて、食品のパッケージに漏れが無いか、食品が振動で崩れないかなど、宇宙船の振動・衝撃に耐えられるかどうかのテストを行う」と語る。

 非常時用食品は高強度真空パックを採用している。「宇宙船の空気が漏えいし、減圧した場合、真空の程度は高まる。非常時用食品は低圧の状況に耐えられなければならない。これは極端な状況ではあるものの、開発時には十分に考慮しなければならない」。

 陳氏によると、これらの食品はこれまでの宇宙船神舟に搭載されていたものと比べ、カロリーが高く、食感も良く、栄養バランスも考慮されているという。

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