2011年11月07日-11月11日
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火星探査機「蛍火1号」、次に軌道修正に失敗すれば墜落も

2011年11月11日

 中国の火星探査機「蛍火1号」を搭載したロシアの火星探査機「フォボス・グルント」は現在、依然として宇宙空間を漂っており、多くの人の気がかりとなっている。

 ウェブサイト・科学網は昨日、北京航空航天大学推進理論・工学博士であり、米コロラド州立大学の客員研究員である謝侃氏をゲストに招き、ネットユーザーとの交流を交えながら同件について詳しく話を聞いた。北京晨報が11日に伝えた。

 もし今回の任務が最終的に失敗した場合、ロシアは中国に賠償金を支払うのか?とのネットユーザーからの質問に対し、謝氏は「保険会社が担保するなら、非商業衛星にも保険をかけることができるが、リスクは高い。ロシアの探査機には約10億元が費やされている。失敗すれば損失はもっと増える。今回のリスクは中ロ双方が共に負担することになるだろう。例え賠償金に関する協議があったにしても、最終的に中国に賠償金が支払われる可能性は低い」とした。

 ロシアの保険会社「ロシア・インシュランス・センター」のヴャチェスラフ・シャバリン副理事長がかつて語ったところによると、「フォボス・グルント」にはロシアと外国市場で計12億ルーブルの保険がかけられており、各種類のリスクをカバーしている。中には墜落し完全に損壊するリスクも含まれているという。しかし、中国の「蛍火1号」の保険状況については不明だ。

 謝氏はまた、「世界的にも、火星探査機の打上げ成功率は低い。40機の探査機のうち、火星に到達できるのはわずか15機ほどだ。現在重要なのは、できるだけ早く故障の原因を突き止め、相応の対応策を始動させることだ。ロシア側はあと3日の猶予があるとしている。3日間以内にメインエンジンが始動すれば成功率は高いが、時間が長くなればなるほど可能性は小さくなる。もしソフトウェアの問題であれば、解決しやすいはずだ。まだ希望はある。しかし、もし次に軌道修正に失敗すれば、それは任務失敗を意味し、探査機は墜落、大破するだろう。回収できる可能性は低い」と語った。

 謝氏によれば、中国のロケット「長征5号」は2014年ごろに1回目の打上げを行う予定だ。そうなれば中国も欧米の主流ロケットと同等のロケットを有することとなり、将来的な火星探査に向けたニーズを満たし、小さな探査機なら火星に送り込むこともできるようになる。

 謝氏は「中国は全体的に見て、主要宇宙開発国よりも15年から20年ほど遅れをとっている」と指摘した。

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