2011年11月14日-11月18日
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中国、新たな極地砕氷船の名前を公募

2011年11月16日

 国家海洋局極地調査弁公室、中国極地研究センターは15日、記者会見を開き、中国がまもなく建造する新たな極地科学調査用の砕氷船について紹介した。また、同船の名前を公募で決定することが明らかになった。

 ▽新砕氷船はいつごろ完成するのか?既存の極地調査船「雪龍号」との違いは?

 新砕氷船は中国にとって2隻目の極地調査船であり、真の意味での極地砕氷船は中国初となる。2013年に完成する予定で、完成後は既存の「雪龍号」と共に船隊を形成する。

 投資額は12億5千万元で、全長100メートル、軽荷排水量は8千トン、航続能力は2万海里、連続航行能力は60日間。航速は0-15ノット(1ノット=時速1海里、約1852m)で、ダイナミック・ポジショニング・システムを搭載している。

 極地観測隊員の快適さを考慮し、船内には公共エリア、レジャーエリア、学術交流センターなどが設けられている。

 中国極地研究センター党委員会書記で、雪龍号の船長を務めたこともある袁紹宏氏によると、新たな砕氷船は厚さ1.5メートルの一年氷と深さ20センチの雪を時速2-3ノットで連続砕氷して進むことができるほか、氷で覆われた水域を航行中、短時間で方向転換・Uターンすることができ、操作性が高く、また大風・大波にも対応できる。

 同船はさらに、世界最先端の調査設備やヘリコプターを搭載しており、公海から南北両極海に至るまで、全世界での航行の要求を満たしている。

 袁氏によると、同船の科学調査能力は高く、「立体的」な調査が可能だという。すなわち、航行区域の上空3千メートルから海底にいたるまでの様々なデータを収集・分析することができ、これらのデータを統合し、伝送することも可能だ。

 このほか、無人ケーブル式潜水艇、無人遠隔潜水艇、水中探査システムなどのプラットフォームを搭載し、環境、海洋地球物理、海洋生態の総合調査に向けた需要を満たす。

 ▽船首と船尾の双方向砕氷で砕氷能力がアップ

 袁氏によると、新しい砕氷船には2つの特徴がある。1つ目は環境への配慮だ。新砕氷船は現時点で最高の環境保護基準に基づいて設計され、動力システムには電力駆動を採用、ディーゼルエンジンの排出基準も同タイプの船の中では最高だ。南・北極海域での航行の際にはゼロエミッションを実現するほか、生活ごみや生活廃水は船内で処理し、港で無害化処理される。

 もう1つの特徴は砕氷能力だ。雪龍号は船首の部分のみで砕氷していたが、この方式だと厚いリッジに遭遇したときに前進が困難となり、氷上に乗り上げてしまうこともある。

 新しい砕氷船は船首だけでなく船尾も使う双方向の砕氷方式を取り入れ、機動力が大幅に向上した。高さ10メートルから15メートルのリッジやアイスダムに遭遇しても、乗り上げた後に船尾のスクリュー・プロペラで氷をかきだすことができる。また、Uターンのスピードも向上した。

 ▽新砕氷船の名称を全世界から公募

 国家海洋局極地調査弁公室の曲探宙主任は、新砕氷船の建造期間中に同船を命名し、中国極地調査のより良いイメージを打ち立てるべく、世界の華人を対象とした新砕氷船の名称募集活動を行うことを明らかにした。募集活動は11月15日から12月10日までで、ウェブサイト上で行われる。

 最も人気を集めた名称上位20種類は専門家委員会の審査を経て候補となり、国家海洋局が最終的に正式な船名を決定する。結果は年内に発表される予定。

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