2012年01月09日-01月13日
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北京、過去10年間の「PM2.5」平均濃度を公表

2012年01月09日

 北京市はこのほど、ディーゼル車などから排出される粒子状物質「PM2.5」の年間平均濃度を初めて公表。過去10年間、「PM2.5」の濃度は毎年減少傾向にあり、2000年の1立方メートル当たり100-110マイクログラムから、2010年には70―80マイクログラムと、約30%減少したことが明らかになった。ただ中国では今後、世界保健機関(WHO)が定める制限値35マイクログラムが新たな基準とされるが、2010年の数値はその倍に当たる。中国共産党の機関紙「人民日報」が報じた。

 「PM2.5」とは直径が2・5マイクロメートル(マイクロ=100万分の1)以下の大気中に漂う粒子状物質のこと。その直径が髪の毛の30分の1と、極めて小さいため呼吸により容易に体内に吸い込まれ、気道傷害やせき、呼吸困?、肺機能の低下など、呼吸器系や心血管系傷害を引き起こすとされている。ある研究では、同市の「PM2.5」の約60%は石炭の燃焼や機動車(自動車、二輪車、そのほか電動車など原動機付き車両全般を含む)の排ガス、工業で使用されている燃料の燃焼などによって生じ、23%は建設現場などのほこり、17%は塗料などの溶剤の使用が原因であることが明らかになっている。

 そのため同市は5日、大気の質改善に向け、「PM2.5」の抑制を柱とした一連の計画を発表。計画の一つである「PM2.5」観測ネットワークの構築もすでに開始された。また、春節(旧正月、今年は1月23日)前には、リアルタイムで観測データを公表する体制が整う見通し。そのほか、汚染物質排出抑制計画を近く発表し、経済構造やエネルギー構造の調整や、建築現場などから出るほこり、工業汚染などの厳格な抑制などから着手し、各業界と協力して全面的な管理を実施したい考え。また、欧州の排ガス基準・ユーロ5に相当する「国5」基準を全国に先駆けて導入し、今年中に旧型車両10万台の淘汰(とうた)を進めたいとしている。

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