2012年03月05日-03月09日
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宇宙船「神舟9号」、宇宙飛行士3人が搭乗

2012年03月05日

 キャリアロケット「長征2号F」の技術顧問である劉竹生氏(中国科学院院士)は3日、中国科学技術館で行われた「科学教壇」に出席し、「今年の6?8月に宇宙船神舟9号が打ち上げられる。3人の宇宙飛行士が搭乗し、設計では最大7日間の飛行が可能だ」と述べた。新京報が4日に報じた。

 ▽宇宙実験室「天宮1号」、トイレは男女別に

 宇宙船「神舟9号」に搭乗する宇宙飛行士たちは現在訓練を行っている。劉院士は「次回打上げ時の快適性を高めるべく、設計者は宇宙から帰還した宇宙飛行士と交流を重ねている」と語る。

 例えば、「神舟5号」にはトイレが無かった。楊利偉飛行士はトイレを一日中我慢しなければならず、帰還した際は顔が真っ青だった。その後、「神州6号」では大小便の収集システムが開発された。劉院士は「これは宇宙に行った人にしかわからないが、便器に座って力を入れると、無重力のため体が前へ傾いてしまう。地上では思いもよらないことだ」と語る。

 宇宙実験室「天宮1号」にはバキューム式トイレが設置されており、大小便を別々に収集する。女性宇宙飛行士のために、大便用トイレの高さや位置が一部修正されたほか、女性専用の設備もあるという。

 ▽ロケット推進剤も一新

 劉院士によると、ロケット「長征2号F」の重さは480トンだが、そのうち液体推進燃料の重さは442トンで全体の92%を占める。

 現在、ロケットの液体推進燃料には非対称ジメチルヒドラジン(C2H8N2)と四酸化二窒素(N2O4)が用いられているが、前者は過度に吸入すると肝臓に障害を起こし、後者は水と交わると硝酸を生じ、呼吸器系に有害だ。劉院士によると、現在新たな推進燃料を開発中であり、長征5-7号では無毒・無汚染の液体水素、液体酸素を推進剤として使うことができるようになるという。

 このほか、キャリア・ロケットは将来的に「急速打ち上げ」が可能となり、これまで1カ月あまりかかった衛星の打ち上げも、2?3日に短縮される。これにより、四川大地震のような緊急事態が発生した際も、すぐに衛星を打ち上げて「孤島化」した被災地の様子を知ることができるようになる。

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