2012年06月01日-06月01日
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中国と米国の有人潜水艇、その違いとは?

2012年06月04日

 今年3月、映画監督のジェームズ・キャメロン氏が米国の深海潜水艇「ディープシー・チャレンジャー」に乗り、マリアナ海溝の最深部(水深1万メートル)に到達した。この潜水艇と中国の有人潜水艇「蛟竜号」にはどのような違いがあるのだろうか?「ディープシー・チャレンジャー」の潜水活動と「蛟竜号」による潜水試験の違いは?「蛟竜号」の総設計師である徐キ南氏に取材した。人民日報が4日に報じた。

 徐氏は「ディープシー・チャレンジャー」と「蛟竜号」の違いについて、次のように述べた。

 キャメロン監督が乗った「ディープシー・チャレンジャー」は、マリアナ海溝の水深1万メートル以上の地点に到達した。これは世界でも2回目の快挙であり、水深1万メートルに到達したのは世界で3人目となる。キャメロン氏の勇気は敬服に値する。

 人類が初めて水深1万メートルに到達したのは1960年のことで、2人が潜水艇「トリエステ号」に乗りマリアナ海溝に潜った。当時は材質や技術に限りがあったため、潜水艇の重さは150トンに達し、移動能力も非常に劣っていた。また、海底との往復に計8時間かかり、海底に留まったのは約20分、写真撮影は行われなかった。

 キャメロン監督は今回、探検と撮影を目的に潜水に挑戦し、海底に3時間滞在したほか、3D撮影機で撮影を行った。潜水艇は上下に垂直移動するタイプで、海底での移動能力はない。潜水艇の耐圧殻の内径はわずか1.09メートル、長時間手足を曲げてうずくまっていなければならない。

 「蛟竜号」の使命は「ディープシー・チャレンジャー」とは違う。「蛟竜号」は海底資源と科学調査研究が目的だ。この目的を果たすため、「蛟竜号」の耐圧殻の直径は2.1メートルで、一度に3人を収容可能だ。また、海底巡航、海中静止能力を備え、海底の平原、山、熱水噴出孔に沿って移動し、調査活動を行うことができる。このほか海底で作業を行い、設備を海底に設置したり、海底のサンプルを採取することもできる。これには卓越したバランスコントロール能力が必要だ。ちなみに「ディープシー・チャレンジャー」もサンプル採取設備を搭載していたが、設備に故障が生じたため、サンプルの採取はできなかった。

 「ディープシー・チャレンジャー」はコーン状をしていて、縦に長いため、潜航と浮上にかかる時間が短い。この点は我々も参考にできる。

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