宇宙船「神舟8号」と「神舟9号」、もちろん最大の違いは無人と有人の差だが、宇宙実験機「天宮1号」とのドッキングに関し、他にもいくつかの違いがある。中国新聞網が報じた。
▽ドッキングの方向の違い
神舟8号は2回のドッキングでいずれも後ろから接近し、ドッキングを行った。すなわち、宇宙船が後ろから天宮1号に接近する形になる。2回目のドッキングでは、まず宇宙船を天宮1号から140メートル離れた地点にまで撤退させ、それからドッキングを行った。
これに対して神舟9号は、前から接近する、つまり、宇宙船が前方にあり、天宮1号が後ろから接近する形になる。2回目のドッキングでは、宇宙船を自動的に400メートル離れた地点にまで撤退させ、それからドッキングを行う。
▽ドッキング方法の違い
神舟8号は、宇宙船のドッキング設備の自動制御によるドッキングを行ったが、神舟9号は1回目に自動制御によるドッキングを行った後、2回目は手動制御によるドッキングを行う。これにより宇宙飛行士による手動ドッキング技術を検証する。
実は、神舟1号-8号の全てが手動制御機能を備えているが、これまでの中国の有人宇宙飛行では宇宙飛行士が実際に操作することはなかった。つまり、飛行士は宇宙船の中に座っているだけで、自ら宇宙船を操縦することはなかった。
一方、神舟9号の宇宙飛行士は自ら宇宙船を制御し、手動ドッキングを行うため、宇宙船操縦の感覚を十分に体得できるだろう。
▽ドッキング環境の違い
神舟8号は中国初のドッキングだったため、宇宙の光波がドッキング設備に与える妨害を減らすため、また技術上・設計上の理由から、太陽光が照らす場所で自動ドッキングをスタートし、ドッキング完了時には太陽が当たらない影に入る、という方法がとられた。一方、神舟9号は全プロセスを太陽光に照らされた場所で行う。
宇宙の光波はドッキングの測量設備に妨害を与えるため、太陽光のあたる環境でのドッキングは難度が高い。ドッキング設備は厳しい試練にさらされることとなる。
▽ドッキング結合体の違い
神舟8号と天宮1号のドッキングでは、2つの宇宙機が連結したものの、宇宙機のハッチは開かれなかった。このため、船内環境面から見ると、真の意味で一体化したとは言えない。
神舟9号のドッキングでは宇宙飛行士が天宮1号の内部へと移動し、結合体環境の検証を行うため、宇宙船のハッチを開く。このとき、神舟9号は天宮1号と空間的に結合し、2つの大きな「部屋」が宇宙で1つになる。
宇宙飛行士は神舟9号のハッチを通って天宮1号の内部に入り、物の移動や仕事を行う。この際、天宮1号内の二酸化炭素浄化装置、微生物制御装置などの環境および生命維持装置が作動し、地上と同じ環境が提供されることとなる。