2012年07月02日-07月06日
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漢方薬、宇宙飛行士の健康維持に貢献

2012年07月05日

 有人宇宙船「神舟9号」がこのほど、宇宙実験室「天宮1号」とのドッキングに成功した。中国はこれにより、有人ドッキングの技術を掌握した世界で3番目の国となった。中国宇宙飛行士センター医学的監督・保障研究室の李勇枝主任は「宇宙飛行士は、中国が開発した漢方薬『太空養心丸(注:太空は宇宙の意)』を、1日3回食べている」と紹介した。神舟5号から9号の任務にいたるまで、宇宙飛行士の健康を保障するために伝統的な漢方薬が使用され、中国の有人宇宙飛行事業を支えているのだ。人民日報が報じた。

 宇宙飛行士は今回、10日間あまり宇宙に滞在した。宇宙飛行士は宇宙酔い、減圧症、起立性低下などの宇宙病にかかりやすいが、実はこれらは真の意味での「病気」ではない。無重力によって引き起こされた心血管機能の障害、骨塩量の減少、赤血球減少などの症状は特殊な条件下にいるために起こる生理的ストレス反応と言える。

 中医学は体全体を、西洋医学は局部を重視する。中医学はバランスを、西洋医学は対抗を重んじる。西洋医学の短所はまさに中医学の長所なのだ。欧米・ロシアなども宇宙病の症状を重視しているが、西洋医学の効果には限りがあるため、宇宙飛行士の健康問題を効果的に解決するには至っていない。

 中医学の専門家は、宇宙飛行士の陰陽バランスを整える措置を講じている。出発前には漢方薬を服用して気・血を調整し、さらにマッサージや針灸などの療法で体質を増強する。宇宙滞在中に十数種類の漢方薬を調合した「太空養心丸」を服用すれば、宇宙病を予防し、バランスを失った気・血の流れを正常にもどすことができる。

 宇宙における漢方薬の効果はすでに検証されている。中国宇宙飛行センターとベルギーのルーヴァン・カトリック大学はかつて共同で地球帰還後の宇宙飛行士の身体検査を行った。その結果、中国人飛行士の健康状態が最も良好であった。楊利偉飛行士も「神舟5号から神舟7号の任務にいたるまで、漢方薬は特殊環境下における宇宙飛行士の業務を効果的に保証し、飛行士の健康維持に重要な役割を果たした」と語っている。

 このように、宇宙で素晴らしい効果を発揮した漢方薬だが、「地上」ではあまり光が当たらない。漢方薬は安価で、技術力を体現できないため、中医学を志す一部の学生は、生存のために次々と西洋医学に乗り換えている。

 中医学はこれまで様々な困難や疑問の声に直面し、今でも反対する人が後を絶たない。このような背景の中、中医学を振興させるためには、国家戦略に定める必要がある。「中医学事業発展の第12次五カ年計画」では、「発展モデルの転換を堅持し、特色とメリットを突出させる」ことが提起された。現在、中医学発展における最も差し迫った問題は保護と伝承だ。独自のメリットを維持することで、初めて強固な足場を築くことができる。

 中医学の価値は、その特色とメリットだ。これから数十年後には、人類の病気は非感染性の慢性疾患が主となるだろう。これは中医学復興のチャンスとなるかもしれない。特色を失わず、メリットを保ち続け、絶えず伝承しつづければ、中医学が人類の健康に貢献するときが再び訪れるだろう。

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