2012年08月20日-08月24日
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アジア初、医療用ドナー動物飼育センターが完成

2012年08月21日

 湖南省長沙市寧郷金洲新区に、窓の無い不思議な建築物が聳え立っている。これは中南大学湘雅三医院が建設した、アジア初、世界で2番目の医療用ドナー動物飼育センターだ。これにより、中国における異種移植の臨床研究は重大なブレークスルーを果たし、異種移植による糖尿病治療のインフラは世界トップレベルに達した。中国科技網が報じた。

 異種移植とは、種が異なる生物間で器官、組織又は細胞を移植することを指す。同種移植と比べ、異種移植は十分なドナー源を確保できる一方、生物種が異なるために「拒絶反応」が発生しやすく、移植効果に不確実性が存在する。異種移植の発展をいかに推進するか、異種移植のドナーをいかに選択するか、患者の疾患又は遺伝子にいかなる危害も及ぼさない安全なドナーをいかに飼育するかは、同分野において世界的にも注目を集める問題であり、積極的に研究される重要課題となっている。

 ドナーブタの飼育および(糖尿病治療用の)膵島開発を行う同センターではすでに「安全なドナーブタ」の育成に成功、同分野の産業化開発に向けた重要な一歩となった。これは中国の4000万人以上の1型糖尿病患者にとって喜ばしい知らせであり、将来的なその他の疾患の治療に向けても新たな道が切り開かれた。

 高品質ドナーブタの飼育技術が衛生主管部門の技術認証および倫理審査に合格すれば、中国は世界で初めて「ブタからヒトへの膵島移植」による糖尿病治療が実現する国となる。

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