2012年09月24日-09月28日
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世界初、推力50トンの電動式振動台を開発 蘇州

2012年09月24日

 蘇州東菱振動試験儀器有限公司(以下、東菱振動)はこのほど、世界初となる推力50トンの電動式振動試験システムの開発に成功した。4人の院士を含む有人宇宙飛行プロジェクトの専門家数十人は21日、北京で行われた中国有人宇宙飛行プロジェクト始動20周年記念式典を欠席してまで蘇州に駆けつけ、同システムの誕生を見守った。科技日報が報じた。

 同システムの「兄貴分」にあたる「35トン級電動式振動試験システム」を含む数々の振動試験装置は、これまで数年間にわたり、中国の宇宙船「神舟5号」?「神舟9号」、宇宙実験機「天宮」、月探査衛星「嫦娥」など、有人宇宙飛行プロジェクトの全重要設備の振動試験・動的衝撃試験に使われてきた。

 東菱振動の江運泰チーフエンジニアによると、振動がもたらす製品の故障は故障全体の3割を占める。振動試験は製品の振動性能および信頼性をテストするために欠かせない技術であり、早くから宇宙・航空、航海、自動車など様々な分野で幅広く応用されてきた。

 先進国はこれまで数十年間にわたり、大推力の振動試験設備の対中輸出禁止、技術封鎖等の措置を講じてきた。1980年代までは1トン以上の推力を持つ振動台の輸出が禁止、90年代以降は5トン以上の振動台の輸出が禁止になり、その後さらに9トン以上の振動台の輸出が禁止された。

 東菱振動は2006年、当時としては世界最大の35トン級振動台を開発し、このほどさらに50トン級の振動台の開発に成功した。しかし皮肉なことに、米国からの対中輸出が禁止されている製品のリストには依然として「9トン以上の振動台」が含まれている。

 東菱振動の王孝忠董事長(取締役会長)は「我々は6年前、16トン級振動台を米国に輸出した。当時我々が、購入者である米国の実験室の代表者と『End user statement(最終使用目的が米国輸出管理法に抵触しないことを確認するもの)』の調印を行ったとき、米国側の代表はサインをしながら、『買主の欄にサインをするのは初めてだ』とつぶやいた」と語る。

 振動台を含む大型試験設備の開発において、東菱振動は国の代表企業としての責任を負っている。これまでに「35トン級電動式振動試験システム」、「六自由度電動式振動試験システム」など国家重点新製品16件を開発し、うち10件あまりは国内の空白を埋めた。多くの技術が世界をリードする水準に達している。

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