2012年09月24日-09月28日
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英国 SARSに似た新型コロナウイルスの感染症を確認

2012年09月26日

 英国でこのほど、新型コロナウイルスの感染症が確認された。患者はカタール国籍の男性(49)で、急性呼吸器症候群の症状が見られるほか、腎臓障害を併発している。この新型ウイルスはSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じコロナウイルスに属するが、検査の結果、SARSウイルスではないことが分かった。新華社が報じた。

 英国健康保護局 (HPA) の発表によると、英国で現在入院中のカタール人男性から検出されたウイルスは、今年夏にサウジアラビアで死亡した60歳男性の肺組織から検出されたウイルスと99.5%の類似性を示した。このカタール人男性も、サウジアラビアへの渡航歴が確認されている。現在同患者は集中治療室に入っており、重体だという。

 なお、3カ月ほど前に中東で重篤な呼吸器疾患の症例が確認されているが、これらの症例が新型ウイルスによるものかどうかはまだ実証されておらず、現在感染が確認されているのは上述の2人の男性のみ。

 HPAは、2人の患者は今年7月から9月にかけて発症しており、もし感染力が強ければすでに多くの感染報告があると思われることから、「新型ウイルスの感染力はさほど強くない」との見方を示したが、「致死性があるため、衛生部門は慎重な措置を講じ、患者に接触した医療従事者の保護および一般大衆のモニタリングを強めるべき」と指摘した。

 この新型ウイルスの発生源はまだ特定されていないが、症状としては発熱、咳、呼吸困難などの呼吸器疾患が確認されている(ただし、これらが典型的な症状かどうかは確定できない)。対応する治療法も確立されておらず、症状に合わせて呼吸器症状の治療を行うしかないという。

 HPAの担当者は、「英国の関連部門はすでにWHO、欧州疾病対策センター(ECDC)と連絡をとり、新型ウイルスに対する詳細な監視を行っている。しかし、まだ2人しか感染者が確認されておらず、拡散の兆しも見られないため、現時点で一般大衆に対する特別勧告は行わない」と語る。

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