2012年10月22日-10月26日
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「北斗」構築の大きな3段階と小さな3段階

2012年10月29日

 中国は25日夜、西昌衛星発射センターから中国の衛星測位システム「北斗」の16基目の衛星を打ち上げた。これにより、北斗のアジア太平洋ネットワークが完成し、同地域のほとんどがサービス範囲に含まれた。北斗システム副総設計師の李祖紅氏は取材に答え、北斗のネットワーク構築プロセスについて紹介した。中国新聞社が伝えた。

 李氏によると、北斗システムのネットワーク構築は「大きな3段階」と、「小さな3段階」に分けられるという。

 ▽大きな3段階

 大きな3段階の1段階目では、まず能動型測位を実現し、中国国内とその周辺の衛星ナビゲーションにむけた技術問題を解決した。衛星「北斗1号(北斗-1)」を代表とする4基の試験衛星が打ち上げられ、2000年に実験的な北斗システムが完成、中国は独自の衛星測位システムを有する世界第3の国となった。

 2段階目は、2004年に国の支援を得て開始された「北斗2号(北斗-2)」システムの構築。これは地域を対象とした受動型測位システムで、異なる軌道を持つ3種類の衛星を通じてシステムを構築する。アジア太平洋地域に向け24時間全天候型のナビゲーション・測位サービスを提供し、2012年末にはアジア太平洋地域の大部分がサービス対象となる。

 3段階目は、グローバルシステムの構築。全世界のユーザーにナビゲーション・測位信号を提供し、24時間全天候型・高精度のサービスを実現する。北斗グローバルシステムは2020年をめどに完成する見通し。

 ▽小さな3段階

 小さな3段階とは、アジア太平洋をカバーする北斗地域システムの構築プロセスだ。

 第1段階:2010年8月までに、静止軌道衛星2基と傾斜軌道衛星1基の計3基の衛星を打ち上げ、「2+1」システムを構築する。

 第2段階:静止軌道衛星3基と傾斜静止軌道衛星3基からなる「3+3」システムを構築する。

 第3段階:2011年8月以降、北斗システムの衛星を1基打ち上げるごとにネットワークに接続する。このほど16基目の衛星の打ち上げに成功したことで、北斗システムは今年中にアジア太平洋ネットワークを構築するという目標を実現した。

 李氏は「大小2つの3段階発展計画は、中国の国情に適した衛星測位システム発展の道であり、ゼロからスタートし、徐々に難度を上げつつ、段階的に実施するという特徴を持つ。全体的に見て、北斗計画は秩序立てて計画的に実施されており、衛星測位システムの持続可能な発展を後押しするだろう」と語る。

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