2012年12月24日-12月28日
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今年の科学10大ニュース 中国からは2つがランクイン

2012年12月27日

 今年も科学界では多くのすばらしい発見があった。米科学誌「Scientific American」はこのほど、科学者による数回の選考を経て、2012年に人類社会に最も大きな影響をもたらした科学分野の10大ニュースを発表した。北京日報が伝えた。

 (1)ヒッグス粒子と見られる粒子の発見
 (2)火星探査機キュリオシティの着陸成功
 (3)ヒトゲノム機能の80%を解明
 (4)第3のニュートリノ振動を観測
 (5)グラファイト(黒鉛)粒子で室温超伝導を実現
 (6)抗HIV薬の販売が承認
 (7)潜水艇「蛟竜号」が潜水新記録樹立
 (8)ドーハ気候会議が開催
 (9)3Dプリンターが実用化
 (10)ドラゴン補給船による国際宇宙ステーション(ISS)への補給実施

 これらのうち、中国からは以下の2項目がランクインした。

 ▽第3のニュートリノ振動を観測

 入選理由:次世代ニュートリノ実験の方向性が定まった。宇宙の起源と進化のプロセスを知る上で重要な意義を持つ。

 中国の大亜湾ニュートリノ実験室は2012年3月8日、大亜湾原子炉において新たなニュートリノ振動を観測し、その振動確率を測定したことを明らかにした。同実験ではかつて無い高精度を実現し、第3のニュートリノ振動の振幅は9.2%、誤差は1.7%、振動がゼロの可能性はわずか1千万分の1となった。

 ニュートリノは、ミクロ的な素粒子物理学だけでなく、マクロ的な宇宙の起源・進化においても極めて重要な役割を果たす。この発見により、ニュートリノの基本的性質への理解が深まり、次なる実験の方向性が定まった。異なるニュートリノの質量順序がはっきりし、次世代実験施設の建設にも役立つ。同成果は、中国において近年最も重要な物理学的成果の1つでもある。

 ▽潜水艇「蛟竜号」が潜水新記録樹立

 入選理由:人類未踏の深海分野で重要な一歩

 有人潜水艇「蛟竜号」は6月27日、西太平洋のマリアナ海溝で深海潜水実験を行い、水深7062メートルの海底に到達、作業用の有人潜水艇としては世界記録を樹立した。

 「蛟竜号」は中国が自主開発したもので、耐圧構造、生命保障、水中音響通信、システム制御などのキーテクノロジーでブレークスルーを果たし、特殊な海洋環境又は海底地質条件において、圧力を保持した状態でのサンプリングやコア採取などの複雑な任務を実施することができる。

 現時点で、人類の深海に対する認識は浅く、火星に対する認識すら下回っているほどだ。宇宙に行くのに宇宙船が必要なのと同じく、深海の開発には潜水設備が不可欠だ。有人潜水艇があれば、科学者が直接深海に降りて最先端の科学研究を行うことができる。7千メートル級の水深に達したということは、世界の99.8%の海域で科学研究ができるようになったことを意味する。

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