北京市・天津市・河北省では1月10日-14日にかけ、今世紀に入ってから最も深刻な大気汚染が発生した。中国科学院の特別研究チームはこの汚染の元凶について、「石炭と自動車の排気ガス」としている。新華網が伝えた。
中国科学院大気物理研究所のモニタリングデータによると、上述の3地域では今年1月、深刻な汚染が5回にわたり発生し、北京市で晴天が見られたのはわずか4日間だけだった。データによると、汚染が最も深刻だったのは1月12日で、河北省石家荘市のPM2.5濃度は1立方メートルあたり660マイクログラムに達し、PM10濃度は砂嵐の影響を受けて1立方メートルあたり1100マイクログラムに達した。天津市でもPM2.5濃度が1立方メートルあた500マイクログラム、PM10濃度が700マイクログラムに達した。
研究チームは「汚染物質の成分を分析した結果、中国中東部を襲った汚染物質には、英ロンドンで1952年に発生した大気汚染事件『ロンドンスモッグ』、および1940-50年代に米ロサンゼルスで発生した光化学スモッグの原因となった汚染物質と同様の物が含まれ、さらに中国特有の砂嵐・エアゾールも混じっていることがわかった。これは大規模な汚染物質排出と自然・生態系の破壊が招いた結果である」との見方を示した。
3地域で発生した大気汚染の元凶は石炭と自動車の排気ガスだ。同研究所の王躍思研究員は「3地域のPM2.5発生源を分析したところ、石炭が34%、自動車排気ガスが16%を占め、両者を合わせると50%に達した。残りの50%は、工業、外部からの流入、粉塵、飲食産業などから来るものだった。北京市のPM2.5発生源を分析したところ、自動車が25%、石炭が19%を占め、外部からの流入が19%を占めた」と語る。
王研究員は報告書の中で、「突発的な大気汚染が生じた原因は、第1に、周辺地域の石炭燃焼に起因する二酸化硫黄(見えない刺激性の気体)が一夜にして硫酸塩(スモッグの成分)に転化したため。第2に、窒素酸化物から硝酸塩への転化がPM2.5の急上昇を招いたため。また自動車の排気ガスにより窒素酸化物の濃度が上昇し、含窒素有機粒子が大量に生成された」と指摘している。
専門家は「汚染の発生を防ぐためには、工業や石炭燃焼を制御しなければならない。特に燃焼過程における脱硫・脱硝・集じんに重点を置き、揮発性有機化合物の排出を抑制する。また、ディーゼル車の排気ガス、石油製品の品質にも注目が必要だ」と指摘する。