2013年04月22日-04月26日
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H7N9型インフル、中国科学者が感染源を解明

2013年04月23日

 中国農業科学院哈爾濱(ハルビン)獣医研究所の陳化蘭研究チームの最新の研究は、このほど中国各地でヒトへの感染が引き起こしている新型のH7N9型インフルエンザウイルスが、同じ時期に生きた家禽の市場で存在していたH7N9型鳥インフルエンザウイルスと相同関係を持つことを突き止め、世界で初めて病原学の角度から同ウイルスの感染源を明らかにし、中国の科学的なウイルス予防・抑制に重要な根拠を提供した。関連する研究論文は4月20日に、中国の科学誌「科学通報」(Chinese Science Bulletin)の2013年最新号(英語版)に掲載された。科技日報が伝えた。

 同研究によるとH7N9型インフルエンザウイルスは異なる出所の遺伝子組み換えウイルスで、その6つの遺伝子セグメントはH9N2鳥インフルエンザウイルスから来ているが、HAおよびNAセグメントの出所は不明だ。H7N9型ウイルスの受容体結合配座は、一部のヒトインフルエンザウイルスの特徴への突然変異を起こしている。同ウイルスはヒト感染後、アミノ酸配座の適応性突然変異を生じさせる。これらは同ウイルスのヒト感染および致死能力と関連性を持つ可能性がある。

 中国国家衛生・計画出産委員会は3月31日、上海市と安徽省でH7N9型インフルエンザウイルスのヒトへの感染を発表した。中国農業科学院ハルピン獣医研究所の国家鳥インフルエンザ参考実験室は迅速に反応し、上海市・安徽省の生きた家禽の市場および養殖場で、970点の病原学サンプルを収集し、そのうち20点からH7N9型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応を確認した。遺伝子コードを分析した結果、H7N9型鳥インフルエンザウイルスの各遺伝子セグメントは、ヒトから分離されたH7N9型ウイルス株と相同関係を持ち、ヒト感染と致死を引き起こすH7N9型インフルエンザウイルスの感染源が、同じ時期に家禽の間で発生したH7N9型鳥インフルエンザウイルスであることが証明された。これらのウイルスはすべて生きた家禽の市場から収集されたサンプルから分離されており、養殖場のすべてのサンプルが陰性反応を示したため、新型H7N9ウイルスが生きた家禽の市場で発生した可能性が証明された。

 国家鳥インフルエンザ参考実験室の提案を受け、中国農業部(農業省)と上海市政府は上海市の生きた家禽の市場を閉鎖し、感染拡大を阻止した。効果的にH7N9型鳥インフルエンザウイルスを抑制するため、同実験室は迅速に行動し、各地で積極的にモニタリングを展開した。さらに実験室内で診断、ウイルスの分離、遺伝子コードの比較を夜を徹して行い、全国獣医疾病抑制部門にH7N9型鳥インフルエンザウイルスのRT-PCR診断試薬、標準診断抗原、血清を提供した。

 同実験室は現在、H7亜型鳥インフルエンザウイルスのワクチンを持つ。同ワクチンのH7N9型鳥インフルエンザウイルスへの免疫・保護効果については現在も研究中だ。同実験室の研究者は、H7N9型鳥インフルエンザウイルスに特化したワクチンの開発を進めている。

 同実験室の陳化蘭主任は、「現在の研究結果は、生きた家禽の市場がH7N9型鳥インフルエンザウイルスの感染源であることを証明した。そのため生きた家禽市場のH7N9型ウイルスの検査を強化し、管理制度の実施を徹底し、ウイルスの市場から家禽養殖場への伝播を防ぐ必要がある。またH7N9型ウイルスの発病性、感染能力、発病のメカニズムに関する研究を展開し、科学的・合理的な予防措置の制定に向け理論的な根拠を提供するべきだ」と語った。

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