2013年05月20日-05月24日
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中日科学者 高原地帯の疾病を共同研究

2013年05月20日

 青海大学付属医院、京都大学東南アジア研究所、日本総合地理研究所の学者による合同科学チームは5年間にわたる研究の結果、青蔵(チベット)高原で高齢者の動脈硬化、心血管疾患、慢性高山病をもたらす危険因子を発見した。同成果は15日、青海省科学技術成果弁公室の組織した専門家チームの審査に合格した。専門家らは、「この発見により、介入治療の早期実施が可能となり、医療費負担が大幅に削減される。高原地帯における高齢者の生活の改善および寿命の延長にとって重要な意義を持つ」との見方を示した。新華網が伝えた。

 同チームの中国側担当者の高継東氏は、「今回新たな発見が得られたのは『高原地帯における高齢者の動脈硬化および危険因子の研究』プロジェクト。高原地帯に住む高齢者の間で、かつて発病率が低かった動脈硬化と心・脳血管疾患が近年、増加傾向を呈している。同プロジェクトの目的は、低圧・低酸素の環境下で生活するこれらの高齢者の発病原因が環境や遺伝と関連があるのかどうか、また、平原地帯の既存の治療法をそのまま適用することが科学的・効果的であるかといった問題を解決し、高原地帯の中年・高齢者の健康を改善することだ」と説明した。

 高氏は、「研究チームは日本の既存の研究成果を分析・比較することで、高原地帯で動脈硬化の発病率が高いのは、伝統的な飲食習慣と密接に関連しているという結論を出した。高原地帯の人々は高カロリーの食べ物を好み、アルコールを大量に摂取するが、運動量が少ない。人々の生活水準の向上に伴い、洋食のファーストフードやデザートが取り入れられ、これらの悪い習慣による影響が強まったた。有機体の刺激に対する反応が血管の透過性を高め、血液中の脂質が血管壁内に透過し、動脈の粥状硬化が生じる」と語った。

 同研究はまた、ホモシステインの増加も心血管疾患および慢性高山病の危険要素であるとした。これらの危険要素のさらなる分析により、高原地帯の高齢者の動脈硬化、心脳血管疾患の防止に対して基礎的な根拠を提供できる。

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