2013年06月03日-06月07日
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中国内陸部の原発、環境と健康への影響は無し

2013年06月05日

 中国原子力エネルギー協会は本日記者会見を開き、内陸部にある原子力発電所の環境影響評価研究の結果を発表した。それによると、中国が建設予定の内陸部の原発プロジェクトの安全基準は高いため、環境や国民の健康に影響をきたすことはなく、福島原発のような深刻な事故が発生する可能性もないという。同記者会見は、桃花江原発が位置する湖南省益陽市で行われた。科技日報が伝えた。

 中国原子力エネルギー協会は2012年、内陸部における原発建設の地質条件、水資源状況、環境収容力、国民の受け入れ度に関する疑問をめぐり、専門家による課題研究を実施。研究結果に基づき報告書「内陸部原発環境影響評価」を発表した。研究内容は、原発の用地選定、用水、冷却、放射線の影響、深刻な事故に伴う環境リスクと緩和措置など、原発が影響を及ぼしうる8つの方面に及んだ。

 報告書の内容は次の通り。

 ▽中国の原発安全基準は国際的な原子力エネルギー機関の最新標準と一致している。内陸部の原発は沿岸部の原発の安全基準と同じであり、液体状放射性物質の流出に関しては内陸部の基準のほうが厳しい。

 ▽内陸部の原発における水・ガスなどの排出は国際的な高い基準を満たしており、環境への放射線増加の影響もバックグラウンド放射線を大きく下回るため、環境と国民の健康に影響をきたすことはない。

 ▽中国が建設予定の内陸部原発プロジェクトの土地選定条件は良好で、福島第一原発のような深刻な事故は発生しない。

 ▽二次循環冷却技術を採用しているため、内陸部の原発の淡水消費量は、流域の水資源に影響をもたらさない。

 ▽内陸部原発の下流の水質は飲用水の標準に達している。

 ▽さらなる措置を講じ、深刻な事故が生じても水資源の安全と国民の健康を確保できる。

 ▽内陸部の原発の事故が国民の健康にもたらすリスクは、人類のその他の活動によるリスクを下回る。

 研究者の1人で、環境保護部原子力・放射能安全センターの副総工程師である陳暁秋氏は、「世界各国の原発発展の状況から見て、沿岸部の原発と内陸部の原発は本質的に同じであり、どちらも安全だ。フランスと米国では、内陸部の原発が全体の69%、61.5%をそれぞれ占めている。米国のミシシッピ川流域には原発ユニットが32基建設されている。また、ルイスやウクライナ、ベルギーなどでは、全ての原発が内陸部に建設されている」と語る。

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