2013年06月03日-06月07日
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中国宇宙事業の発展 宇宙船・神舟がけん引

2013年06月06日

 中国人が注目する有人宇宙船「神舟10号」が、打ち上げの最終準備段階に入った。中国有人宇宙プロジェクトの報道官はこのほど、「神舟10号は6月中旬に打ち上げを予定しており、3人の宇宙飛行士が再び天宮1号を訪れる」と語った。科技日報が伝えた。

 中国有人宇宙船システムの張柏楠総指揮は、「神舟10号は中国有人地球?宇宙往還輸送システム初の応用性飛行を実施する。主要任務はドッキング目標機・天宮1号に宇宙飛行士を送り込み、実験を行い、物資を消費することだ。これまでと比べ、今回の任務は輸送する物資の種類と数量について、高い条件を設けている。神舟は改善を重ね、すでに宇宙ステーション地球?宇宙往還輸送システムの能力をつけている」と語った。神舟の位置付けはすでにほぼ確定されており、ロシアのソユーズTMAの他に、世界で二種の有人宇宙?地球往還輸送を使用できるシステムの一つとなった。

 ◆神舟の歩み

 1999年11月20日朝6時30分、中国有人宇宙計画の初の宇宙船、無人試験宇宙船「神舟1号」が、長征2号Fロケットにより、酒泉衛星打ち上げセンターから発射された。同宇宙船は宇宙を21時間飛行し、翌日の早朝3時41分に着陸に成功した。

 中国有人宇宙プロジェクトのチーフエンジニア、中国工程院院士の王永志氏は、「神舟の設計は、先人の知恵の上に成り立っている」と述べた。

 王氏によると、旧ソ連のボストーク号、ウォスホート号、米国のジェミニ号など早期の宇宙船は、帰還モジュールと推進モジュールによる2モジュール設計を採用していた。宇宙船の飛行任務の複雑化に伴い、この構造では宇宙飛行士が活動するスペースが確保できなくなった。また宇宙飛行士の特殊疾病、および心肺機能・前庭機能の宇宙飛行への適応度を予測することも不可能だ。

 神舟は軌道モジュール・帰還モジュール・推進モジュールの3モジュール設計を採用し、追加された軌道モジュールは宇宙飛行士の宇宙での生活・業務モジュールとなり、地球帰還前に分離される。こうすることで操縦室のサイズを小型化できる。

 中国は神舟1号の任務により一連の技術成果を獲得し、宇宙船の重要技術・システム設計の正確性、また発射、測量・抑制通信、着陸・回収などの地上設備を含むプロジェクト全体の業務の協調を証明し、中国有人宇宙プロジェクトの幕開けとなった。

 その後3年余りの期間に、中国は神舟2号・3号・4号の飛行任務を完了した。有人宇宙飛行の基礎を固めると同時に、宇宙生命科学・宇宙材料・宇宙天文・宇宙環境探査・地球観測などの大量の研究を実施した。

 2003年10月15日9時00分、神舟5号が長征2号Fロケットにより打ち上げられた。この任務で、楊利偉氏の名前が人々の記憶に残ることとなった。初の中国人宇宙飛行士による宇宙飛行は、中国宇宙事業の新たな節目となった。

 その後、中国の有人宇宙プロジェクトは優秀な成績を収め続けた。神舟6号の任務において、宇宙飛行士の費俊龍氏、聶海勝氏は宇宙を115時間に渡り飛行し、中国初の「複数の宇宙飛行士による数日間の宇宙飛行」を実現した。神舟7号の任務において、翟志剛氏、劉伯明氏、景海鵬氏の3人の宇宙飛行士が、宇宙に打ち上げられた。中国が独自に開発した船外宇宙服を着用した翟氏が宇宙に登場し、中国の「宇宙遊泳」の第一人者となった。

 2011年になると、中国有人宇宙プロジェクトの舞台は、神舟の「独壇場」ではなくなった。中国初のドッキング目標機「天宮1号」が9月29日に打ち上げられ、軌道にのった。1カ月後に神舟8号が打ち上げられ、天宮1号の後を追った。11月3日早朝1時36分、二つの宇宙船が宇宙で「握手」をし、中国初の宇宙無人自動ドッキングを完了した。

 2012年6月16日、神舟9号は景海鵬氏、劉旺氏、劉洋氏の3人を乗せ宇宙に向かい、2日後に初めて宇宙飛行士を天宮1号に送り込んだ。今回の任務は順調に完了され、中国が有人宇宙?地球往復、宇宙飛行士の船外活動、宇宙ドッキングの3大有人宇宙基本技術を完全に把握したことが示された。これはさらなる宇宙ステーションの建設、大規模な宇宙実験の展開に向けて、良好な基礎を築いた。

 張氏は、「神舟10号の任務は、中国有人宇宙プロジェクトのドッキング任務の最後を締めくくる。中国有人宇宙プロジェクトは今後、スペースラボ段階に入り、スペースラボ・天宮2号を打ち上げ、物資輸送宇宙船などの技術を把握する。中国は2020年頃までに独自の宇宙ステーションを建設する予定だ」と語った。

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