2013年07月01日-07月05日
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汚いエアコン、細菌の量は便器と同じ

2013年07月02日

 便器とエアコンのどちらが汚いかと聞かれれば、多くの人は便器を選択するだろう。中国環境科学学会室内環境・健康分会はこのほど、家安ブランド(エアコン洗浄剤のブランド)と共同で「2013年夏 家庭室内空気改善計画」キャンペーンをスタートし、北京・深センなどのエアコン保有世帯を対象に実施した調査の結果を発表した。それによると、88%のエアコンの放熱板が、細菌の数で基準超となり、便器と同じ程度の汚さであることが明らかになった。南方日報が伝えた。

 気温が上がれば、人々はエアコンが効いた部屋に入るだろう。しかしエアコンは涼しい空気だけでなく、有毒な空気をもたらしている。中国環境科学学会室内環境・健康分会名誉理事長、北京大学環境科学センター教授の田徳祥氏は、「乳幼児は環境に含まれる毒物に対して敏感なため、最も健康に影響を受けやすい」と指摘した。

 ◆72時間の運転、ご飯にカビが生える

 長い間洗浄されていないエアコンは、どれほど汚いのだろうか。上述したキャンペーンでは、復旦大学公共衛生学院が今年行ったある課題実験の結果が公表された。「エアコンによる汚染の測定」を目的とするこの実験では、「72時間でご飯にカビが生える」という測定結果が導き出された。この実験ではまず、同じ量のご飯を2つのお椀によそい、壁掛け型エアコンの下のテーブルに置いた。そのうち1つのお椀にはフタをし、窓を閉めてエアコンをつけた。72時間後、フタをされたご飯は色がやや変色したが、エアコンの風にさらされていた方のご飯はカビが生え、斑点ができていた。

 実験に使用されたエアコンだけに汚染源が隠されているわけではない。中国環境科学学会室内環境・健康分会が上海・北京・深センなどのエアコン保有世帯を対象に調査したところ、88%の放熱板の細菌が基準超に、84%の放熱板のカビが基準超となった。これらの放熱板から検出された細菌は、最多で1平方センチメートルあたり9万1259個に達し、基準値を40-100倍上回った。これらのエアコンの汚染物のうち、夏は細菌が多く、冬は菌類が多かった。

 復旦大学の測定結果によると、多くの家庭のエアコンに含まれるホコリの細菌・カビが基準超となっており、最も汚染が深刻な家庭の細菌は、デパートのセントラルエアコンの50倍に達した。

 ◆乳幼児、2倍の有毒物質を吸入

 田氏は、エアコン使用の際に、乳幼児の健康に特に気をつける必要があると指摘した。乳幼児は環境に含まれる毒物に敏感だ。これは子供の体が発育中で、免疫力が低いためだ。子供が摂取する水・食べ物・空気の量は、同じ体重にすれば成人を上回る。田氏は、「中国予防医学雑誌は、乳幼児がおとなしくしている際に吸い込む空気の量は、成人の2倍に達すると指摘した」と説明した。0-6歳の子供は急速な発育段階にあり、環境に含まれる毒物が健康に与える影響は、持続的・不可逆的な機能障害をもたらす危険性がある。そのためエアコンの定期的な洗浄・消毒は重要だ。田氏は、「フィルターだけではなく、放熱板などの汚れが隠されている部分も洗浄するべきだ。またエアコンを長時間運転せず、室内の通風と空気の流れに注意する必要がある」と語った。

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