2013年08月12日-08月16日
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世界初の半浮遊ゲートトランジスタ 中国人科学者が開発

2013年08月13日

 復旦大学ミクロ電子学院の張衛教授率いるチームが開発した、世界初の半浮遊ゲートトランジスタ(SFGT)に関する研究論文が、このほどサイエンス誌に掲載された。中国人科学者がこの権威ある学術誌でミクロ電子部品の研究成果を発表するのは、これが初となった。同成果はミクロ電子分野の重大かつオリジナリティあるイノベーションであり、中国の集積回路のコア技術掌握、世界チップデザイン・製造分野における核心的競争力の向上を後押しする。人民日報が伝えた。

 トランジスタは集積回路の基礎的な部品だ。過去数十年間の加工技術の進歩により、トランジスタのサイズは縮小を続け、その物理的極限に近づいている。集積度の上昇により、チップのエネルギー密度が高くなりすぎ、放熱が難しくなっている。そこで各国の科学者と業界は、材料・電気回路の設計で画期的な進展を実現しようとしており、同時に新構造・新原理に基づくトランジスタを積極的に模索し、現在の技術的なボトルネックを打破しようとしている。張教授のチームは、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)の二種類の原理を結びつけ、「半浮遊ゲート」と呼ばれる新型基礎部品を作り出した。同部品は巧みな構造、高性能、低エネルギー消費という特長を持ち、CPUのレジスタ、メモリポート、イメージセンサなどに幅広く利用でき、製品性能を革命的に向上させることが可能だ。

 同分野の重要な特許はほぼ、マイクロン・テクノロジ、サムスン、インテル、ソニーなどの海外企業によって把握されており、中国は独自の知的財産権と使用可能な製品は少ない。半浮遊ゲートトランジスタは現在主流となっている集積回路の製造技術との間に互換性を持ち、産業化の将来性が高い。その潜在的な市場規模は、300億ドル以上に達すると見られる。同チームは現在、同部品の改良と電気回路の設計を開始している。同部品は、中国が集積回路のコア部品の技術を掌握することを促す、中国の新型ミクロ電子部品技術の研究開発における一つの節目となった。

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