2013年08月26日-08月30日
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福島原発事故 未だ知られていない秘密

2013年08月29日

 経済産業省は8月27日、2014年度予算の概算要求の中に、福島第一原発の廃炉作業に関する研究・開発経費として125億円を計上する方針を固めた。東電の汚染水タンクには難題が存在しており、日本当局は初めて「公費」により汚水問題を解決する意思表示をした。人民日報海外版が伝えた。

 ◆汚染水漏れが深刻化

 東電は26日、福島第一原発から漏れた300トンの汚染水が、貯水タンクの集中する北東側に向かったほか、南側にも向かい周辺土壌を汚染した可能性があると表明した。汚染水漏れが発生した貯水タンクの南に約30メートル離れた排水弁の近くから、毎時16ミリ・シーベルトの高い放射線量が計測された。

 原子力規制委員会は8月21日に、今回の汚染水漏れの評価を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げた。東電が同日発表した試算は、より驚くべきものであった。そのデータによると、福島原発事故の発生から現在に至るまで、ストロンチウム90が最多で10兆ベクレル、セシウム137が最多で20兆ベクレル海に流出した可能性がある。両者を加えると、原発の正常稼働時に規定されている、通年の海への排出基準(放射性トリチウムを除く)の約100倍に達する。

 福島原発の汚染水漏れが深刻化する中、東電は汚染水を処理する能力を持たないと批判されている。日本国内の各界は、政府の直接的な介入を求めている。

 事態の深刻性を受け、菅義偉官房長官は26日午前に開かれた記者会見で、「政府は率先して問題を解決すべきだ。内閣は経済産業相に対して、本年度予算の予備費の投入を含め、同問題を解決するため取りうる措置をすべて講じるよう求めた」と語った。茂木敏充経済産業相は当日、福島第一原発を視察し、汚染水漏れの現場などを確認した。

 ◆貯水タンクに損傷、管理不足も

 国際社会と国内世論の汚染水漏れ事件に対する注目が高まるに伴い、その原因も徐々に表面化している。茂木経済産業相は視察後に、「貯水タンクを適切に管理できなかったことは大きな問題だ」と語り、東電に対して巡回強化など5つの対策を指示したと表明した。

 原子力規制委員会がこのほど実施した調査によると、東電は1日2回の巡回の中で、巡回時間や放射線量などの貯水タンクに対する検査結果を記録していなかった。東電のこのずさんなやり方は、大量の汚染水の外部流出の原因の一つとなった。

 東電は24日にも、汚染水漏れが発生した貯水タンクは2011年6月に設置した後、地表の沈下が発見されたため撤去し、その後10月に現在の位置に設置したと発表した。同貯水タンクは地表の沈下により変形した可能性があるが、損傷はなかったという。現在は汚染水漏れが発生した原因を調査中だ。

 毎日新聞は26日に、「東電は経費削減のために問題だらけの貯水タンクを作り、高濃度の汚染水を流出させた」というスクープを報じた。

 東電の貯水タンクを製造した企業の経営者は、「東電は貯水タンクを発注した際に、製造を急ぐ他に、割安な材料を使うよう特に要求した」と指摘した。耐久性の低い材料を使用したために、貯水タンクは炎天下の季節に割れ目が生じやすい。東電の技術者もこれを懸念している。直射日光の当たる屋外に設置すれば、タンク内の気温が外よりも高くなり、タンクの寿命も短くなり、壊れやすくなる。これは誰でも分かることだ。

 ◆放射能漏れ 事故は未解決

 安倍首相は広島市の平和記念式典で式辞を述べた際に、「我々は非核化の世界を実現する責任と義務を持つ」と語った。しかし福島原発事故の発生から現在までの2年半で、東電は問題の深刻性を徹頭徹尾隠し続けた。日本政府もあいまいな態度で、放射能漏れの処理にもたつき、外部に対して関連情報をタイムリーに報告しなかった。さまざまな事実とその結果が、小出しにするようにして人々の目の前に示された時、国際社会は人々に真相と結果を即座に知らせなければ、未来の国際社会の放射能漏れの防止措置に深刻な影響を与えることを意識した。

 現地の世論も、「日本政府は責任を逃れるために、後始末を東電に押し付けている」と指摘した。汚染水漏れ事件が徐々に明るみに出るに伴い、日本の国民は政府の態度と対策に対して不満を覚えており、すぐに納得できる回答を出すよう求めている。日本政府は民意の統一の面で、困難に直面した。朝日新聞は、「東京女子大学名誉教授の広瀬弘忠氏らが今年3月、全国の15-79歳の1200人を対象に実施したアンケート調査によると、福島原発の現状について『事故はまだ未解決』と回答した人が94%に達した」と伝えた。

 国民からも、「多くの恐るべき出来事がニュースで報じられていない」、「破壊された福島第一原発がもたらす危害は、政府が認めているよりも深刻だ」、「なぜ原発から蒸気が上がり続けているのか」、「冷却装置は修理後に運転を維持できるのか」、「貯水タンクの貯蔵能力を超えさせないためにはどうするべきか」という声があがっている。

 直ちに放射能漏れ問題を解決しなければ、将来的にチェルノブイリ事故を上回る深刻な放射能汚染が生じる可能性がある。環境問題の専門家は、「汚染水が海に流れ込めば、海全体の生物に影響が生じ、最終的に人類にも影響が及ぶだろう」と警鐘を鳴らした。

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