2013年10月14日-10月18日
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外来種の侵入 中国で544種が確認

2013年10月25日

 第2回国際侵入生物会議で明らかになったところによると、中国に侵入している外来種は現時点で544種が確認されており、そのうち広範囲で発生しており深刻な被害をもたらしているものは100種余りに達する。中国の外来種の侵入防止は、厳しい情勢に直面している。人民日報が伝えた。
 ◆中国で猛威を振るう外来種
 中国科学技術部(科学技術省)の国家重点基礎研究発展計画(973計画)侵入生物プロジェクトの首席科学者である万方浩氏は、「生物の侵入に関する概念を明らかにしておく必要がある。一般的に、ある国が国民の食卓を豊富にし、環境保護を促進するため自ら輸入し、育成・栽培・養殖を行う場合は、生物の侵入には当たらない。国が自ら輸入したのではなく、本国の農業・環境・人・家畜の健康に悪影響をもたらした場合、生物の侵入と呼ぶことができる」と説明した。
 国際自然保護連合が発表した世界の最も脅威的な100種の外来種のうち、50数種が中国に侵入している。
 万氏は、「中国では過去10年間に渡り、世界で猛威を振るう危険な外来種が20数種類発見されており、毎年平均1-2種が追加されている。また近年になり、中国の潜在的な侵入生物が発見される頻度が急激に高まっており、危険な外来種が中国に迫っている」と指摘した。
 西南大学の周常勇副校長は、「生物の侵入は、中国の農業生産・国際貿易・環境、さらには人や家畜の健康に深刻な影響をもたらしている」と語った。
 ◆海外旅行、果物や土などの持ち帰りは厳禁
 生物の侵入には、次の二つの主要ルートがある。まずは自然な侵入で、これは気候の変化に伴う、風・水・動物の移動などによる侵入だ。次は人為的な活動で、貿易・旅行などの出入国に伴う侵入だ。万氏は、「人為的な活動は、生物侵入の主要ルートだ」と強調した。
 万氏は、「中国は外来種の侵入の予防・コントロールを強化するべきだ。世界各国による共同の予防・コントロールは、外来種の侵入を効果的に阻止し、経済・環境の安全および社会の安定を保障する根本的な解決策だ」と主張した。
 中国の生物侵入研究は力強く発展しており、基礎理論研究のほかにも、一連の外来種侵入予防技術の革新に関する特別研究が進められている。またデータベースの建設、検査・モニタリング、予警報システムの構築、拡散防止、地域共同の予防・コントロール、防除の継続などに関する研究と建設が進められている。生物的防除を中心とする外来種の持続的な防除技術システムは、すでに生産の中で高い効果を発揮している。
 専門家は、「多学科融合の研究方法をさらに推進し、国家の各関連部門の協力と取り組みを強化し、責任制を厳格化し、これを国際貿易ルール・国際慣例に合致するものとし、中国の関連問題に関する国際交渉に向けて基礎を固めるべきだ」と提案した。
 ◆外来種の侵入阻止、何をするべきか?
 専門家は、「まずは科学教育を強化し、人々に外来種を認識させる。これにより人々は外来種の侵入を発見した場合、直ちに通報することができ、コントロールにも協力できる。次に、人々の旅行先が近年になり豊富化しており、各博覧会など生物を直接国内に持ち込む国際会議が増加している。人員が入国時に知らぬ間に侵入生物を持ち込む可能性が大幅に高まっており、その防止により高い要求を突きつけている」と警鐘を鳴らした。
 専門家は、「観光客は税関などの検査部門の業務に積極的に協力し、海外旅行の際には危険性の高い生物の存在する場所には近づかず、果物や土など生物を侵入させやすいものを持ち込まない方が良い」と提案した。

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