2013年10月21日-10月25日
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中国製ゲノムシーケンス装置 産業化に向け前進

2013年11月01日

 2013年国際ゲノミクス大会が、10月29日に青島市で開催された。開幕式の現場では、中国科学院北京ゲノム研究所と吉林紫キン薬業股フェン有限公司(キン=金が三つ)が、第2世代ハイスループットシーケンスシステムの共同開発プロジェクトに関する出資契約書を締結した。これは、中国科学院が自主開発する第2世代シーケンス装置プロジェクトが、間もなく市場化・産業化の段階に入ることを意味する。科技日報が伝えた。
 ゲノムシーケンス技術は、ヒトゲノム計画の実施以来、世界バイオ科学技術研究の重要分野となっている。第2世代ゲノムシーケンス技術が成熟化し、コストが激減するに伴い、同技術は多くの研究・実践に利用され、膨大な市場を形成した。中国市場に現在存在するすべてのハイスループットシーケンス装置と試薬は100%外国産で、その輸入額は2013年だけでも20億元(約320億円)以上に達すると見積もられている。
 中国科学院北京ゲノム研究所党委員会書記の楊衛平氏は、「我々のゲノム研究は常に世界の先頭集団に位置している。これは中国が最も早くヒトゲノムシーケンスに取り組んできたためだ。しかし我々が使用している設備は常に国外からの輸入に依存してきた。中国科学院は国立科学研究機関として、ゲノムシーケンス装置を自主開発し、海外の独占を打破する義務がある」と語った。
 中国科学院の援助を受け、2年半をかけて完了された第2世代ゲノムシーケンス装置開発プロジェクトは、2011年に試作機の製造と性能の検収を完了し、一部の性能は輸入製品を上回った。中国科学院北京ゲノム研究所はその後、同プロジェクトの実用化・製品化の開発を進め、独自の知的財産権を獲得し、現在までに9件の特許を取得している。
 楊氏は、「第2世代ハイスループットシーケンス装置の産業化発展は我々の一歩目であり、今後はさらに試薬・データベース・バックグラウンドの国産化など、多くの進展を実現する」と述べた。

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