2013年11月18日-11月22日
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嫦娥3号の月面着陸、試される中国の宇宙技術

2013年11月26日

 月にはどのような世界が広がっているのだろうか、人類はなぜ月に上陸しなければならないのか?中国の月探査機「嫦娥3号」の打ち上げを控え、中国月探査プロジェクト首席科学者、中国科学院院士の欧陽自遠氏は新華網のインタビューコーナー「新華訪談」に出演し、同プロジェクトの説明を行った。新華網が伝えた。
 嫦娥3号と月面ローバーには、どのような技術的な難題があるのだろうか?欧陽氏は、「技術的な多くの難題がある。中国が地球外の天体にソフトランディングするのはこれが初めてであり、その過程は非常に困難だ」と語った。
 欧陽氏によると、月面ローバーは着陸機の内部に固定されており、同時に月面着陸する。まず、地球から月に向かう際には、月にキャッチしてもらう必要がある。スピードが速すぎれば通り越してしまい、遅すぎれば衝突してしまうため、程よい速度が必要だ。
 次に、安全に着陸しなければならない。月面では嫦娥1号のようなハードランディングではなく、ソフトランディングが必要だ。その際の最大の課題とは何だろうか?月には空気がなく、真空状態でパラシュートを使っても意味が無い。ゆえに着陸機を低い位置に調整し、目標に向かい下降させる。下降の速度が速くなれば、月面に到達した際に衝突してしまう。そのため、方法は一つしか残されていない。着陸機の底部に数基のエンジンを搭載し、着陸機全体を押し上げることで、ゆっくり着陸できるのだ。
 欧陽氏によると、具体的な着陸地点の確定も難しいという。これは臨機応変な判断が必要だからだ。着陸機が月面の上空100メートルほどに達すると、底部に取り付けてある多くのカメラが写真をとり、着陸機に情報を伝える。例えば月面に大きなクレーターがあり場所を移す必要がある場合、着陸機は自動的に移動する。地上が平らであることがカメラによって確認されてから着陸することになる。
 欧陽氏は、「100メートルの高度から下降すれば衝突してしまう。そのためゆっくりと下降し、高度4メートルで停止し、底部のエンジンを切って着陸すれば安全だ。着陸機は着陸後、ソーラーパネルでエネルギーを得る必要があるため、日中に着陸しなければならない。これにより余裕を持って、設備の調整を行うことができる。すべての調整が終了後、作業開始となる」と語った。
 ◆着陸機、いかに夜を過ごすか
 欧陽氏によると、いかに夜を過ごすかという問題は、嫦娥3号の技術的な難題の1つだ。月の夜は漆黒の闇に包まれ、気温は極寒のマイナス150-180度に達する。
 欧陽氏は、「設備はこの気温に耐えられない。そのため夜になると、月面ローバーと着陸機は冬眠しなければならないが、中は保温が必要だ。既存の電池ではこれが不可能で、その後の検証を経て原子力電池を使うしか無いことが分かり、開発の必要性が生じた」と説明した。
 原子力電池がこの難題を解決できるのはなぜだろうか?欧陽氏によると、原子力電池は外界の影響を受けず、温度差を持続的に利用することで、内部の温度を-40度以上に上げることができる。この気温にならすべての設備が耐えられる。この気温は、半月間に渡り維持しなければならない。

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