2013年12月02日-12月06日
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8大科学設備、嫦娥3号の月探査を力強く支援

2013年12月02日

 月探査機「嫦娥3号」は月面着陸に成功すると、ランダー(着陸機)と月面ローバーに分離される。この2台の設備は月に上陸した2つのロボットとなり、月の虹の入江地区で天体観測・地球観測・月探査を協力して実施する。広漠とした月面にあっても、この2つのロボットが寂しさを感じることはない。無線通信により相互交流でき、また数十万キロ離れた地球とも通信できるからだ。人民日報が伝えた。
 この2台のロボットは全身に「目」を持ち、遠くと近く、宇宙の奥深くが見えるばかりか、月の深い地下まで見渡すことができる。ランダーと月面ローバーには、合計で8つの「目」に相当する設備がある。これは専門用語で、科学探査の「ペイロード」と呼ばれる。
 これらの「目」を通じて、嫦娥3号の3つの目標(月の地形および地質構造の調査、月面の鉱物の組み合わせと化学成分の総合分析、月面からの地球・宇宙環境の観測)が実現される。
 設備を搭載するスペースに限りがあるため、これらの科学設備の設計は多くの厳しい課題に直面した。総重量140キロの月面ローバーを例とすると、ペイロードは十数キロのみだ。そのため月面ローバーの「目」は、出来る限り軽量化しなければならない。
 ◆ランダーの設備
 ・地形撮影用カメラ。着陸地点の光学画像を獲得し、月面の地形の研究に用いる。同カメラは軽量でエネルギー消費量が少なく、動画を撮影できる。しかし使用寿命は15日のみで、月面での作業時間は月の日中の時間に相当する。
 ・着陸用カメラ。着陸の過程においてのみ使用される。同カメラは探査機の着陸の過程において、月面ローバーが走行するルートの詳細な地図を撮影し、月の地形的特徴を白黒の画像にする。
 ・月面からの天体望遠鏡。人類が初めて「天文台」を月に上陸させ、月面から宇宙空間を観測する。同望遠鏡は一年間連続で使用される。
 ・極紫外線カメラ。世界で初めて月面で使用される極紫外線の波長のカメラになる。同カメラはランダーの上部に取り付けられ、月の安定的な真空環境を利用し、月周囲のプラズマ層を1年間に渡り安定的に観測する。これは太陽と地球の相互関係の理解を深める一助となる。
 ◆月面ローバーの設備
 ・パノラマカメラ。これは20数センチ離れた2台のカメラによって構成され、異なる角度から目標物を捉え、立体化する。2台のカメラはいずれもカラーで、色彩のあるスペクトルの判断に用いられる。同カメラの任務はランダーおよび国旗の画像化で、科学目標は月面の地形の探査だ。
 ・月探査レーダー。これにより月面ローバーの走行中に、月の土壌の厚さを測定できる。同レーダーは主に月の土壌の厚さ、岩石の浅層構造の測定に用いられ、測定可能な深度は数十メートルとされている。
 ・赤外線分光計。赤外線・短波赤外線の二つのバンドによる作業が可能だ。そのうち赤外線はスペクトルを詳細に観測し、異なる物質を判断する。月面ローバーの走行中、分光計は走行方向にそって画像化を実施し、月面の物質の成分を測定する。
 ・粒子X線分光計。主にX線により月の鉱物の化学成分を分析し、測定の必要があれば自らX線を放射する。
 ◆砂塵が設計・開発の課題に
 月の環境は熾烈を極め、昼夜の気温差は摂氏300度以上に達する。また着陸後は砂塵が舞いやすく、設備の正常な稼働に影響する。ゆえに嫦娥3号の着陸から約1日間は、すべての砂塵が落ちるのを待ち、極紫外線カメラのカバーと望遠鏡のハッチボードを開くことになる。ランダーと月面ローバーにとって、砂塵防止は設計・開発段階で直面した最大の課題の一つだ。例えば極紫外線カメラはランダーの上部に設置されているため、カバーを取り付ける必要がある。これは砂塵防止のためであるが、カバーは熱源を持ち、夜になると閉じられ、内部の適度な気温を維持する。

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