2013年12月23日-12月27日
トップ  > 科学技術ニュース>  2013年12月23日-12月27日 >  初のクラウドコンピュータが公開、高画質映画も17秒で保存可能

初のクラウドコンピュータが公開、高画質映画も17秒で保存可能

2013年12月23日

 「クラウドコンピューティング」に関連する言葉は新鮮な専門用語として、人々の暮らしの中で注目を集めている。しかしこの技術をよく理解している人は少なく、特にクラウドコンピュータと言われると、疑問の表情を浮かべるだろう。なぜならこれを見た人も、その姿について説明している人もいないためだ。数日前に、世界初のクラウドコンピュータ「紫光クラウドコンピュータ」が公開され、神秘のヴェールを脱いだ。質感あふれる黒い箱には、青や緑の指示灯がまたたいている。北京晩報が伝えた。
 ◆10数秒で2時間のハイビジョン映画を保存
 これは世界初のクラウドコンピュータ「紫光1000」だ。世界初のクラウドコンピュータとして、その性能が当然ながら注目されている。
 1台の紫光クラウドコンピュータ(紫雲1000)のCPU数は6万5535個まで、ストレージは85PB(ペタバイト)まで拡大可能で、処理能力は1.2GB/秒に達する。同コンピュータの技術者は、次のように例えた。一般的なパソコンには一つのCPUとハードディスクしかなく、その計算能力とストレージには限りがある。現時点で世界最速のスパコンは、中国国防科学技術大学が開発した「天河2号」で、3万2000個のCPUと4万80000個のコプロセッサー、12.4PBのディスクアレイ(1TBの1万2400個のハードディスクに相当)を持つ。紫光クラウドコンピュータのCPUは6万5535個まで、ストレージは85PBまで拡大可能で、1TBの8万5000個のハードディスクに相当する。
 処理能力とは、単位時間内に伝送可能なデータの量を指す。1.2GB/秒とは、どれほどの速さを意味するのだろうか?約2時間の1080p(1920×1080)のハイビジョン映画は20GBのストレージを必要とするが、同コンピュータならば17秒間ですべてを保存できる。
 ◆水道・電気のようにデータを共有
 これほど卓越した性能を持つならば、クラウドコンピュータにはどのような用途があるのだろうか?実際には生活の中で、ネットの検索、電子商取引、オンラインフォトアルバム、オンラインストレージなど、クラウドコンピューティングの便利なサービスが利用されている。
 技術者は、「同コンピュータは主に政府・企業などのユーザーのITシステム、およびスマート都市、モノのインターネット、スマート交通、スマート医療、食品安全、スマートグリッドなどのビッグデータ応用分野に利用されている。これらの分野では現在、主にX86サーバーが使用されているが、いくつかの問題が存在する。例えばサーバーは1台当たり1つのプログラムしか使用できず、サーバーの資源利用率が低くなっている。またその使用コストも、日増しに高騰している。ITシステムの規模拡大に伴い、計算環境が複雑化しており、ITシステムの運営・メンテナンスのコストが上昇している」と指摘した。
 クラウドコンピュータはバーチャル化ソフトを利用し、コストが割安なX86サーバーを高い計算能力を持つコンピュータに融合させ、ばらばらのハード資源を統一することで資源共有の動的な場を形成する。その計算能力とストレージは動的に伸縮可能で、需要に応じて拡張できる。
 クラウドコンピュータは明らかな効果を持つ。これはバーチャル化技術が資源共有を実現し、X86サーバーの利用率を数倍に高め、建設コストを引き下げるためだ。またクラウドコンピュータは自動化管理ソフトを採用し、各ソフト・計算ユニット・保存ユニットの自動化管理を実施し、人的管理を減らすことができる。これにより運行・メンテナンス・管理がシンプルになり、コストを大幅に削減できる。伝統的な手段により同様のシステムを構築した場合、10人以上の熟練したIT技術チームが、1カ月から数カ月の時間をかける必要がある。クラウドコンピュータを使用すれば、1人の熟練した技術者が数時間をかけるだけでよい。

 専門家は記者に対して、「クラウドコンピュータは電子行政とクラウドコンピューティング技術の、理想的な融合を実現した。市民は将来的に、水道・電気などの公共資源を使用するように、政府が提供する各種サービスを共有できるようになる」と語った。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます